福島第一原発事故で立ち入りが禁止された警戒区域内の「わが家」へ−。十日、防護服を着込んだ福島県川内村の住民たちが一時帰宅を始めたが、滞在は二時間、持ち出せるものも一袋分だけ。それでも多くは帰宅に顔をほころばせたが、国から「自己責任」の確認を求められ、一転して怒りだす場面もあった。 一時帰宅に先立ち、住民を乗せたバスは午前八時五十分、晴れ間がのぞく中、「中継基地」の村民体育センターに到着した。住民の手にはタオルや衣類などが詰め込まれたバッグや、家畜などの餌を入れた袋が。再会に涙を流して抱き合う女性もいた。「とにかく帰りたい」 「責任を押しつける気か」。住民が感情を高ぶらせたのは説明会。国側が「(住民らは)自己責任で立ち入る」とする同意書に署名するよう求めると、「国や東京電力は責任を取らない気か」「私たちは被害者なのに」などと怒りだし、国側は「十分注意してほしいとの趣旨だ」などと釈明に追われ