リビアで反政府デモと弾圧が始まった10日後の2月25日、ジュネーブの国連人権理事会は緊急会を開き、リビアの理事国資格停止を決めた。発動されたのはこれが初めてだ。 シリアの反政府派弾圧についても4月29日、緊急会で非難決議が採択された。シリアは新理事国に名乗りをあげていたが、各国の圧力で5月、立候補辞退に追い込まれた。 「人権侵害国が理事国になっている」と批判され、ようやく自浄機能が働いた。しかし、人権理が一連のアラブ騒乱に十分対応できているとは言い難い。多数の流血を見た6カ国についての出方はまちまちだ。 チュニジア、エジプトは展開が急で、人権高等弁務官事務所が声明を出すのに精いっぱい。独裁政権が倒れた後に調査団を出す「後追い」型だった。 リビア、シリアの緊急会開催と理事国外しも、成果とはいえ、実効性はない。それどころか調査団を設けたのに、国連安全保障理事会が制裁・空爆を決議したリビアには派