なぜ人間は幸せになりたいのか? そして、なぜ幸せになれないのか? 世界的ベストセラー『サピエンス』の著者で、今最も注目を集める歴史家ユヴァル・ノア・ハラリが、人類史を振り返りながらそんな疑問に答えます。 現代人の最大の関心事の一つに「幸せになること」があります。幸せの形は人それぞれ。でも、物質的に豊かになった現代社会では、幸福は「富」によるところが非常に大きいと言えるでしょう。今では経済指標として、GDPの代わりに「幸福の統計値」を採用すべきだという意見すらあります。 経済成長は、多くの国家が掲げる最優先事項でもあります。それがなぜそんなに重要なのかと政治家たちに訊ねれば、「より高い生活水準が国民に幸福をもたらすから」と答えるでしょう。しかし、生活水準の向上が幸福度を高めるかどうかは、科学的に証明されていません。 また、歴史学においても「幸福の歴史」に関する研究は、ほとんど行われてきません