大人にも読者層拡大 青空のようにすがすがしく、どこか甘酸っぱい――。中学、高校生らを対象にした「ヤング・アダルト(YA)小説」が脚光を集めている。今年7月に発表された芥川・直木賞は、このジャンルで活躍する伊藤たかみ、森絵都の両氏に決まり、注目度は高まるばかりだ。(待田晋哉) YA小説の活況を象徴する存在が森さんだ。1991年に講談社児童文学新人賞でデビューし、98年『カラフル』(理論社)を出版。前世で罪を犯した魂が「抽選」に当たり、自殺した中学3年生の体に舞い戻るという、意表を突く展開が支持され、累計20万部のロングセラーになっている。 直木賞の受賞会見では「若い読者を退屈させないようにしてきた経験が生きたかもしれない」と語った。 一方の伊藤さんも、文芸賞でデビュー後、男勝りの女児を描いた『ミカ!』(文春文庫)や坪田譲治文学賞を受けた『ぎぶそん』(ポプラ社)など小、中学生が主人公の作品を刊