フランス王ルイ12世とその王妃ジャンヌの離婚裁判を描いた直木賞受賞作「王妃の離婚」など、ヨーロッパ王朝を舞台にした力作を多く送り出してきた佐藤賢一氏。そのライフワークともいうべき「小説・フランス革命」(集英社 各1500円)シリーズがついに刊行された。今回発売された1、2巻では、革命前夜の三部会開催から、バスチーユ陥落までが描かれる。 ――元放蕩貴族だが三部会にあえて平民代表として参加するミラボー伯爵、若き鋭才ロベスピエールなど、登場人物はいずれもパワフルだ。 「ミラボーは初期の革命の指導者で、人柄は豪放磊落(らいらく)、政治的には穏健派で立憲王政を唱えました。対してロベスピエールは中期の指導者で、正義感の強い知性派ですが、共和制を推し進めた革新派の恐怖政治でも知られています。このデコボココンビを魅力的に描くことが、小説を面白くするための重要な要素でした」 ――当時の革命を動かし