運動中の水分補給を禁止する指導者はさすがにいなくなった。脱水を防ぐために積極的な水分摂取が勧められるようになったのは、遅まきながら喜ばしいことだ。 とはいえ、補給するのが「ただの水」では、百点満点中50点といったところだ。何が足りないのかを紹介する前に、脱水による問題について解説していこう。 ■脱水により起こること 水分が足りなくなると、血液の量が減る。もちろん汗の量も減る。汗の量が減ると、体温が上がりやすくなる。すると皮膚の血流を増やすことにより、冷却効果を得ようとする。 しかし全体の血流量が減った状態で皮膚の血流が増えると、心臓に向かう血液が少なくなる。すると心臓はより多くの血液を送り出そうとする。そして心拍数が高まり、心臓の負担はどんどん増えていく。 さらに血流が低下すると、酸素や栄養素の運搬も滞ってしまう。体重の1%の水が失われると喉の渇きを覚え始める。そして2%が失われた時点で運