あの事件で、小田原の救急病院に担ぎ込まれた女の子のことを僕が知ったのは、事件が起こってから、ほぼ1年半ほど後のことである。 劇場版『ポケモン』の2本目を書き終えた頃、体調がめちゃめちゃになり、映画の脚本が決定稿になったことを監督に確認して、小田原市内の大きな私立病院に入院した。 その同じ病院に、1年半前に担ぎ込まれた女の子のことを看護婦(今は看護師と呼ぶ)の方達が鮮明に覚えていたのだ。 彼女達にとって、『ポケモン』はゲームでもなくアニメでもなく、倒れて担ぎ込まれた女の子の症状を引き起こした原因だった。 その病院には、小児科も当然あるから、そこの担当の医者や看護師なら、ゲームやアニメとして子供に大ブームの『ポケモン』をよく知っているだろうが、たまたま事件の日に夜間勤務で、救急車で運び込まれてくる病人に対処しなければならなかった医者や看護師には、事件から1年半経っても、『ポケモン』は事件を引き