東証1部のJACリクルートメントさんが、会計監査人の交代に関するリリースを出されています(3月の株主総会における付議案件の決定)。次期監査法人としては(新日本さんよりも)トーマツさんが適切と判断した、として新日本監査法人さんから交代するそうです。新日本監査法人さんが行政処分を受けた後、このように(新日本→別法人のように)会計監査人が交代するのは初めてではないでしょうか。 監査役会が会計監査人の選任議案の内容を決定することになるので、このたびの新日本監査法人さんの行政処分を受けて「別の監査法人に変更する」という監査役会の判断は十分考えられるところです。したがって、JACさんのような説明もありうると思います。逆に今後も新日本さんに会計監査を継続して選任する、という企業は(会社法430条やガバナンスコードとの関係から)株主総会、取締役会に対してそれなりの説明が必要になりますね(そもそも選任継続を
世間を賑わせた粉飾事件をいろんな角度から眺める、というのはたいへん有意義なものと思います。山一證券の飛ばし→破たん事件については、当ブログでも過去にご紹介したように、監査を担当されていた伊藤醇さん、調査委員会の委員でいらっしゃった国廣正さんのご著書が有名ですが、最近はまた清武英利氏が「しんがり 山一證券最後の12人」を執筆されていて、お読みになった方も多いかもしれませんが、たいへん面白い内容です。 同族の名門企業の破たんとして、数年前に話題になりました岡山の林原社の粉飾決算事件についても、昨年8月に同社専務であった林原靖さんの著書を当ブログでもご紹介いたしましたが、同社の社長であった林原健さんの新刊「林原家-同族経営への警鐘」がまた発売され話題になっています。もうすでにいろんな書店さんで「ビジネス書部門ランキング1位」になっているようで、もはや紹介するまでもないかもしれませんが。 「林原家
金融商品取引法にお詳しい方であれば、すでにチェックされていらっしゃると思いますが、11月22日に報じられていたように、イー・アクセス株をインサイダー取引によって取得した同社元会長秘書の方が、有罪判決を受けました。懲役2年6月、執行猶予4年、罰金300万円および追徴金4400万円という判決内容だそうです。しかし、その判決言渡の際、裁判官が「いまの法律だと被告人が不当に得た利益をそのまま残すことになる。早期に立法的措置を望む」との異例の法改正提案をされたそうです(たとえば毎日新聞ニュースはこちら)。 金融商品取引法198条の2には、インサイダー取引を犯した(刑事罰として)者については、犯罪行為によって得た財産(およびその財産による対価)を没収することができること、そして没収が困難な場合には追徴することができることが規定されています。これは刑法にある任意的没収・追徴に関する規定の特別法的な規定で
オリンパス社の取締役責任調査委員会が、新旧併せて20名ほど(十数名ほど?)の取締役の法的責任を認めた、との報道がされておりますが、年末のNHK報道(法人としてのオリンパスの刑事責任追及か?)と併せ考慮しますと、本当にオリンパス社の上場は維持されるのでしょうかね?たしかに債務超過ではありませんし、その影響度が計り知れないものとなるかもしれませんが、「組織ぐるみ」と評価されても仕方ないような状況になっているようにも思われます。当ブログでも予想していたように、結局は廃止にはならない(特設注意市場銘柄に落ち着く)のかもしれませんが、博多ぽんこつラーメンさんがご指摘のように、一般の投資家にもわかるように、廃止とならない理由を取引所は説明しなければならないと思います。 ところで株主代表訴訟の提起寸前(提訴請求期間満了直前)の1月8日、オリンパス社自身が、取締役らに対する責任追及訴訟を提起したそうであり
あらかじめ申し上げておきますが、私は九電さんを批判するものでもなく、またその対応を称賛するものでもなく、企業のコンプライアンス経営の在り方を研究するものとしての関心について、以下にとおり記すものであることを、お断りしておきます(って、最近このフレーズで始まるエントリーが多いような・・・・) 九電のやらせメール事件に絡み、いったん辞任の意向を表明しておられた九電の社長さんが、辞任の意向を撤回して、どうやら続投される見込み、とのニュースが報じられております(読売新聞ニュースはこちら)。他の取締役の方々からも「辞める必要なし」との意見が出ているそうで、つまり今月末にどのような第三者委員会の調査結果が出たとしても(おそらく、すでに内容はある程度判明しているとは思いますが)、そのまま辞任されない雰囲気です。 私は以前のエントリーでも書きましたが、どんなに九電さんが強気であっても、「派閥争い」等の社内
山陰放送さんの元派遣社員の方が、8月22日に会社の金(約100万円)を着服したとして逮捕されていたのですが、9月16日、大阪地検は嫌疑不十分として、当該元社員の方を釈放したそうであります(毎日新聞ニュースはこちら)。別の新聞報道によると、この派遣社員の方は長年経理担当だった、とのこと。大阪府警(天満署)は業務上横領で立件可能とみて逮捕したのでありますが、検察側は本人が否認している以上、このままでは公判は維持できないと判断した模様です。山陰放送さんとしては、昨年11月に、この派遣社員が社内で不正を行なったとして刑事告訴をしたわけで、その後実名報道による逮捕、そして今回、嫌疑不十分(つまり犯行が認められなかった、ということ)で不起訴となり、今後の対応が注目されるところです。 今年の1月と4月、私が二度にわたりCFE(公認不正検査士)研究会の合同研修等で解説をさせていただいたのが、この業務上横領
今年3月に大規模なシステム障害を発生させてしまったみずほ銀行の事故をテーマにした「システム障害はなぜ二度起きたか」(日経コンピュータ編集 著 日経BP社 1500円税別)を読みました。情報システムの世界・・・といいますと、典型的な文系人間には、なにやらコンピュータ言語が羅列され、とてつもなく難しい世界であり、いわば本件も技術者でないとわからないような書物ではないかと考えておりましたが、専門用語はほとんど使用されておらず、情報システムの素人にも極めてわかりやすく事故の分析がなされております。 「二度起きたか」とありますので、一度目があるわけですが、これは三行が統合された直後の2002年4月の大規模なシステム障害です。そのときの日経コンピュータさんの事故分析の内容も掲載されており、こちらも「なぜシステム障害が発生したのか」、その原因を知るについては非常に興味深いところです。私の事務所の顧問SE
イオンVSパルコ以来のM&Aネタであります。昨年7月の第三者割当増資で第2位株主となった会社より、株式公開買付の届出を出されたコージツ社(JASDAQ)ですが、取締役会はTOBに対する反対の意思を表明しておられます(DRCKJらによる当社株券等に対する公開買付けに関する反対の意思表明のお知らせ)。今日(8月17日)のコージツ社の株価は、取締役会の反対表明を受けて、買付者が買付価格を引き上げるのではないか・・・という思惑買いによって136円あたりまで高騰したようですが、また130円に落ち着いているようです。 たぶんガチンコだと信じておりますが(まさかシナリオはないですよね?(^^; )、買付者側にも、会社側にも、また第三者委員会にもバリュエーション(企業価値評価)で著名な方々が参加されているので、外野の者からすると、非常に興味深い事例です。企業価値算定を専門とする方々の間でも、「どっちが正し
いよいよ16日から日本監査役協会主催の恒例長浜合宿でございます。全国から新任の監査役の皆様が風光明媚な琵琶湖畔の長浜の地で1泊2日の勉強会(A日程、B日程合計4日間)に参加されます。今年は6月の定時株主総会で改選される監査役の方が多い年でしたので、やはり参加者は多いそうで、どちらもほぼ満席のようです。今年もお手伝いをさせていただくことになり、新任の監査役の方々にお会いできるのを楽しみにしております。 さて、本の御紹介ですが、すいません、多くの新刊書をご献本いただいているにもかかわらず、読む時間が限られているものでちょっとご紹介できておりません。<m(__)m>。読まずに「はしがき」だけをちらっと眺めてご紹介だけする・・・というのも、著者の方に失礼だと思いますので、とりあえずきちんと拝読してから・・・と思っておりまして、なにとぞご容赦ください。 本日、東洋経済新報社の編集部の方より「ご献本い
(7月7日午後 重要な追記あります) (7月7日午後 2度目の追記あります) 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機運転再開問題を巡り、経済産業省が6月26日に放送した県民向けの説明番組について、九電側が関連子会社に原発再稼働に賛成する内容の電子メールを番組あてに送るよう依頼していたそうであります。(6日、九電社長が事実を認め謝罪した、とのこと-読売新聞ニュースはこちら なお依頼内容はこちらです。)国会議員が、九電の内部文書をもとに国会で追及した、とのことですから、子会社従業員または九電社員による内部告発があったものと推測されます。番組放送前の6月25日より、ネット掲示板などで噂になっていたようですので、このあたりが告発の端緒となっていたものと思われます。 このような「やらせ」は、九電トップが仕組むことはまずありえないと思いますので、公表されたように一部の九電中堅幹部の社員が関連会社
東電の株主総会が開始される時刻に、私が役員を務める会社も株主総会が始まりましたが、お昼前には終了しました(ホッと一息・・・・・)。 さて、「コンプライアンス経営は難しい」シリーズでございます。すでに各社ニュースで報じられておりますとおり、キッコーマン食品(キッコーマンさんの関連会社)の工場勤務社員64名(元社員4名を含む)が、野球賭博被疑事件で書類送検された、そうであります(たとえば産経新聞ニュースはこちら)。胴元となった社員は逮捕されたものの、他の職員はほぼ事実を認めているとのこと。1口500円で総額135,000円、「ほんのお小遣いかせぎ」のつもりだったのでしょうが、これだけ大きく報じられますと、企業コンプライアンス問題として無視できないものとなってしまうようであります。 このニュースに触れた方々の印象としては、「この程度のお遊びで、なんで書類送検なの?どこでもやってるでしょ。これくら
日曜日(6月12日)の夜、高濃度のストロンチウムが(福島第一原発地域で)地下水や海水から検出された、とのニュースに触れ、汚染水処理施設ができたとはいえ、いよいよ原発事故もたいへんな状況となってきたことを覚悟いたしました(朝日新聞ニュースはこちら)。ご承知のとおり、ストロンチウムは半減期がとても長く、放射線を体内から浴びて白血病を起こす危険性が高いわけで、今後は放射性物質が混入していることをあえて承知の上で食品を摂取しなければならないことになるんですよね。これによって今後、工程表のとおりに福島第一原発が冷温停止状態に至ったとしても、土壌や海水汚染によって長期にわたり、健康被害が持続することになるようであります。もはや東電さんの「健康に影響が出ないレベル」との意見情報は誰も聞く耳を持たなくなったのでは、と。 事故から3か月も経過しますと、テレビに登場される専門家の方々がおっしゃることが全くアテ
本日、東京の某開示研究会に参加してまいりましたが、長年大手電機メーカーで資材調達に携わっておられ、現在経営コンサルタントでいらっしゃる方のご講義を拝聴させていただきました。主に阪神大震災、中越地震の際の有事の資材調達というご経験からのBCPに関するお話であります。いわゆる「有事対応」というものは、属人的な資質に依拠する部分が多く、マニュアルには書いていないところで事業継続の浮沈が決まるのでは・・・・・と、私自身漠然と考えていたところがありましたが、本日の講義を拝聴して、それを再確認したような気がしました。 ところで、お話のなかで、私が最も「ゾッと」しましたのは、「企業の積年の恨み」に関するものでありました。昭和20年、30年代に事業継続の危機に瀕した会社への取引先の対応、そのあまりにも自己中心的な対応が、今の時代にも尾を引いており、著名な企業どうしの間でも、まったく取引がない、という事例を
経済産業省が「当面の株主総会に関するガイドライン」を公表しておられます。そういえば日経新聞の4月15日付にて経産省の課長さんによるインタビュー記事が掲載されていましたね。3月決算会社の株主総会のご準備にはたいへん参考になるところかと思われます。 震災の影響により、紙の消費も控えたほうが良い、といったことで株主総会参考書類の株主への交付について、定款にWEB開示に関する規定を置く会社についてはWEB開示制度(会社法規則94条1項)が推奨されるそうであります。3月決算の上場会社の場合、約9割ほどの会社が定款でWEB開示を可能とする規定を置いているそうですが、実際に活用しておられる会社はごくわずか、というのが現実であります。(ちなみにWEB修正とWEB開示は異なります-念のため) 以下、上記ガイドランからの引用 2 考え方 現行法を前提としても、定款にウェブ開示の定めがある会社においては、ウェブ
(4月13日午後:追記あり) 毎度申し上げているところでありますが、私はM&A実務に詳しい弁護士ではございませんので、以下はあくまでも上場会社の社外役員という立場からみた素人的な感想でございます。 イオン社がパルコ社に対して事業提携提案とガバナンス提案を行い、パルコ社経営陣はこれを断固拒否している状況が続いております。パルコ社側は、従業員組合が現経営陣を支持する(つまり、イオンの事業提案に断固反対する)旨の意思を表明していたところ、本日、組合外の一般社員からも、事業提携案に反対する旨の表明書が提出されたそうであります。つまり、パルコがイオン化(事業提携→子会社化)してしまうことについて、パルコ社は全社あげて反対の意思表明を行った、ということのようであります。 サントリー・キリン統合劇のときにも申し上げましたが、私は①救済による場合、②国際競争力を向上させるような大義名分がある場合、もしくは
東証の決算発表予定一覧表によりますと、いよいよ来週あたりから3月決算会社の開示が本格的に始まるようであります(まだ未定の上場会社さんも結構多いようですが)。このたびは「(発表は)時期にとらわれる必要はない」そうですが、震災が業績に与える影響がどの程度なのか、投資家は注目しているので、できるだけ正確な開示がなされるよう努力していただきたい、というのが世間の期待するところです。 ただ、こういったことを申し上げるのは不謹慎であることを承知のうえでありますが、今回の震災は(被災地だけでなく)全国の上場会社の業績に影響があることはすでに報道されているところでして、そうなりますと「震災に便乗する」情報開示も出てくるのではないか、というのが懸念されるところであります。 便乗の動機づけとして最も強いのが「粉飾隠し」だと思います。これまで簿外債務や循環取引等によって、表に出ていなかった「不適切な会計処理案件
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