ブックマーク / magazine-k.jp (11)

  • コボタッチ日本投入は楽天の勇み足!?

    楽天さんから「コボタッチ」が届いたので少しいじってみた。初めてEインクリーダーを使った人とはまったく違う「すれた」レビューかもしれないが、出版エージェントという供給側の立場から、少し「たられば」論を述べてみたい。 全体としては残念ながら「急いては事をし損じる」の具体例A、という印象で「やっちまったな」感が否めない。もっとも、リリースを急いだ楽天の気持ちも分からないではない。アマゾンのキンドルに先駆けて日で華々しくスタートを切り、世間様の話題もさらって一挙に端末を売ってなるべく多くのユーザーを囲い込んでしまいたい、そんなところだろう。 「7980円」では安すぎた? 意気込みは買うが、以前から楽天の「打倒アマゾン」には、「向いている方向が違うだろ?」という気はしていた。 前から何度も指摘しているとおり、電子書籍はブームや流行りでワッと売れて終わる類のトレンドではないし、企業間の競争の道具に使

  • 楽天koboの奇妙な書棚

    7月19日に電子書籍リーダー「コボタッチ」が発売されたのと同時に、楽天koboの電子書籍ストアがオープンしました。さっそく端末を手に入れ、何冊かを買ってみようとしたのですが、読みたいがなかなか見つかりません。サービス開始からちょうどひと月が経ちましたが、すでに報じられている品揃えの薄さだけでなく、「書棚」のジャンル分けにも大きな問題があるように感じます。 「小説」と「文学」と「マンガ」の奇妙な関係 電子書籍において市場の中心となるのは、マンガと小説です。長い歴史をもつこれらの表現分野には多くのサブジャンルがあり、実際の書店の書棚も、その実態を反映して構成されています。 たとえば、一足先にスタートしたソニーのリーダーストアの場合、小説は「文学」というジャンルのもとで、以下のような分類になっています。もっと細かく区分することもできるでしょうが、まずは妥当なジャンル分けだと思います。

  • 0円電子書籍端末から本の公共性を考える

    読書とは元来、金はないが、時間だけは十分過ぎるほどに持て余しているという貧乏人が、ああでもないこうでもないとだらだら思索しながら、ひねもす布団の中で読み耽ることができる道楽であった、と誰かが言っているのはどうかは分からないが、自身に照らし合わせてみれば、私が学生時代にたいして金も持っていなかった頃、古屋で投げ売りされているを買い漁ってきては、日がなだらだらとひねもす布団の中で読み耽っていたことは確かだ。 それが来の読書形態のあるべき姿だとは言わない。しかし、読書形態のひとつであることは確かだろう。 日における出版の流通形態を考慮すれば、というモノがある程度の価格形態にならざるをえないことは十分に理解はできる。言うまでもなく、というモノは商品であり、一冊のというモノが書店、及び、読者の手に渡るまでには相当数の人間が関わることになる。というモノの流通に人間が関わるということは、

    0円電子書籍端末から本の公共性を考える
  • 本を送りません宣言

    2011年4月18日の「揺れる東京でダーントンのグーグル批判を読む」という記事で、津野海太郎さんが紹介してくれている「saveMLAK」という活動に関わっている岡真と申します。「マガジン航」には、2009年、2010年に何か記事を書かせてもらっています。 「saveMLAK」は、東日大震災を受けて行っている博物館・美術館、図書館、文書館、公民館の支援活動です。活動については、「saveMLAK」のサイトをご覧いただくとして、一昨日の1月17日に、2011年3月以降の自分たちの経験と見聞に基づいて、「を送りません宣言」というものを出しました。ぜひ、ご一読いただき、ご意見賜れればと思います。 なお、この宣言は便宜上、「saveMLAK」のサーバーで公開していますが、「saveMLAK」という支援者ネットワークの全体の総意に基づいて発表したものではありません。あくまで、末尾に署名している

    本を送りません宣言
  • 大きな写真集を売る小さな本屋さん

    このところの電子書籍の台頭のせいで、アメリカではさぞかしたくさんの小さな街角の屋さんがつぶれているだろうと思われがちだが、実態は少し違う。拙ブログでも何度も触れているが、「インディペンデント」と呼ばれる零細書店は既に大型チェーン店だの、オンライン書店だのという「敵」との歴戦をくぐり抜けてきたしぶとさを持ち合わせているところが多い。 もちろん、こっちでも毎日のようにどこかの町でずっと続いてきた書店がクローズ、というニュースは聞く。だが実際には、書店が会員となる全米書店協会(ABA=American Booksellers Association)に新規登録した書店がここ2年ほどでは増えており、特に今年度は100店を超える新たな書店が参加したという。 我が町ニューヨークでは、経済的なトレンドがブルックリンに向いているので、新しいお店ができたと聞いてもブルックリンばかりだったのだが、ここマンハ

    obata_hiroshi
    obata_hiroshi 2011/05/31
    大きな写真集を売る小さな本屋さん « マガジン航[kɔː]
  • iPadは蜘蛛の糸!?

    拙ブログで、iPadやキンドルは、不況の海に漂う日の出版社の前に垂れてきた蜘蛛の糸だと書いた。なのに出版業界やマスコミのこの浮かれ様はなんだろう? も杓子もツイッター特集の次はiPad特集って? そう、細い細い蜘蛛の糸なので、そんなに皆でいっぺんにぶら下がったら切れるってば。 アメリカにおける電子書籍は最初から「ブーム」や「トレンド」ではなく、着々と進みつつある当然のうねりの一つに過ぎない。ってなことをずいぶんと昔からクチを酸っぱくして言ってきたつもりだが、誰も聞いてなかったってことだな。どんな魅力的なガジェットが発売されようとも、どんな売れっ子作家がEブックを出そうとも、急に誰もが電子を読むようになるわけではない、という当たり前のことさえ忘れてしまったかのようなこのお祭り騒ぎはなんなのだろう、と思う。 こっちでも書籍全体の売上げ(09年の総計約240億ドル)に占めるEブックの売り上

  • アクセシブルな教科書としての電子書籍

    はじめに この度寄稿することになりました「ろす」と申します。Twitterでは@lost_and_foundというアカウントで呟いています。現在のところ職業は公にしておりませんが、出版業界の人間ではありません。08th Grade Syndrome というブログで、電子書籍に関する記事をネットユーザの視点で掲載しています。また個人的な興味から電子書籍の国際標準規格EPUBの仕様書を日語訳して公開したりしています。仕様書は稿の最後にリンクを貼っておきますのでそちらからご利用ください。 今回はそのEPUBに絡めて、アクセシビリティと教育に関するお話をしたいと思います。2010年1月にアップルが発表した電子書籍のオンラインストア iBookStoreの提供フォーマットにEPUBが採用され、この国際標準規格には大きな注目が集まっています。EPUBについてはしばしば「XHTMLCSSファイルを

  • グーグル・プロジェクトは失敗するだろう

    昨秋、アマゾンで、まもなくロバート・ダーントンの『The Case for Books』というがでることを知った。でもこれ、なんと訳したらいいのかね。たぶん「という事件(事例)」あたりなのだろうが、そこに「の容器」という意味がかぶさっているのかもしれない。 ダーントンは、18~19世紀フランスの出版業界をフィールドとするアメリカの高名な書物史家で、日でも『革命前後の地下出版』『歴史の白日夢』『の大虐殺』『禁じられたベストセラー』などの翻訳がでている。 ハーヴァード大学図書館の館長でもあり、近年は『ニューヨーク・レヴュー・オブ・ブックス』をおもな舞台に、の電子化にかんする積極的な発言をつづけてきた。おそらくこんどのも、それらの最近のエッセイをあつめたものなのだろう。 私は書物史家としてのかれを信頼している。とくに『の大虐殺』が好き。文章もいい。そこで、すぐ予約注文しておいたら

  • ジャパニーズ・ブックダム(仮称)計画案

    語のの全文検索 →一部表示サーバーをインターネット上につくる 何度か「ジャパニーズ・ブックダム」という計画をやりたい、と表明していたので、その具体的なことをできるだけ整理してみました。 「ジャパニーズ・ブックダム計画」は、日で、日語(ジャパニーズ)の(将来は雑誌や電子書籍も)のインターネット上での全文検索を可能にし、検索されたページ=の一部表示をするサーバー設置を、国立国会図書館と出版社の共同の取組みで実現しようというものです。 国立国会図書館 長尾真館長が、いわゆる「長尾プラン」を発表して、を生業にしている出版業界、書店、取次、図書館、をはじめネットワークでさまざまな発言している人たちの間でも話題になりました。この構想は、国立国会図書館が、日全国さまざまな地域に住む人たちに、ひとしく資料へのアクセスを提供するために、書籍を電子化し、利用者からの料金徴収をおこなうというも

    ジャパニーズ・ブックダム(仮称)計画案
  • 『本は、ひろがる』をBinBで刊行しました « マガジン航[kɔː]

    昨日1月27日に、ボイジャーの新しい読書システムBinBをつかって、「マガジン航」のこれまでの200以上の記事から7を選んで編んだアンソロジー、『は、ひろがる』を刊行しました。 PCあるいはMac、スマートフォンや各種タブレットのウェブブラウザから、すべてのページを無償でお読みいただけます(下記のURLまたは画像をクリック。対応ブラウザやOSなど、詳細はプレスリリースを参照ください)。 http://binb-store.com/binbReader.html?cid=18814 『は、ひろがる』は、「マガジン航」編集部が刊行する電子書籍シリーズ、「ブックス航」の第一弾です。刊行の意図については、プレスリリースにコメントを寄せましたので、その一部をここにも転載します。 「マガジン航」は「と出版の未来」について、個人の立場からのさまざまな声をあつめることを目的として、2009年秋に

    obata_hiroshi
    obata_hiroshi 2010/03/01
    拡張する本~本の未来にまつわる現場報告
  • インターネット・アーカイブのBookserver構想

    インターネット・アーカイブがとてもエキサイティングで、ことによると根的な変化を生むかもしれないBookServer構想を発表した。インターネット・アーカイブのブルースター・ケールとピーター・ブラントリー、おめでとう。これはグーグル、アマゾン、そしてアップルの真の競争相手になる可能性がある。 以下は、この発表イベントのフラン・トゥーランによる詳細な解説の再投稿である。 すべてが変わった日 フラン・トゥーラン (Fran Toolan) 分かってる、大げさに聞こえるタイトルだが信用してほしい。2009年10月19日を記憶すべき日として書き留めてくれ。 自分のキャリアにおいて、デモを見て「ぶっ飛ばされた」ことは滅多にない。今夜は「ぶっ飛ばされた」ことをとても説明できそうにない。その動きを追っておくべきだったのだろうが、僕はそれをしてなかった。完全に不意打ちをらった形である。チームを率いる優れ

    obata_hiroshi
    obata_hiroshi 2010/03/01
    インターネット・アーカイブのBookserver構想
  • 1