かけがえのない自然を守るため、人を減らすのは悪か? 合成獣の生成と命の再生は「命を弄ぶ」観点からどんな違いがあるのか? みんなの健康のためなら「何をしても」許されるのか? マンガを読んでいて、こうしたテーマにぶつかることがある。たいていは主人公に問いの形で突きつけられ、何らかの「選択」が迫られる。信念に則り選ぶこともあれば、状況に追われやむをえず選ばされることもある。物語は進む一方で、読者のわたしは「もやもや」に襲われる。 「ほんとうにそれで良かったのか?」という問いだ。 わたし個人が、この問いに答えようとすると、ああでもない、こうでもないとグルグルとあてもなく考え、思考は深まりも広がりもしない。考える道具立てが無いからだ。 何が善くて、何が悪いのか?こうした問いに、真正面から取り組むのが、倫理学だ。倫理学の歴史は古く、それこそ人類が「考える」ことを始めたときから誕生したといっていい。考え