エンゲルの法則は、19世紀のドイツの統計学者、エルンスト・エンゲルがベルギーの家計支出を調べて見つけ出したもので、家計の所得が増えると「生活費(消費支出)に占める食費(食料)の割合」(エンゲル係数)が低下するというものだ。 個別の家計で所得が増加するとエンゲル係数が低下するだけでなく、歴史的にみても経済が発展する中で家計の所得が増加するとエンゲル係数は低下傾向を辿ってきた。長期のデータが比較できる総務省統計局の家計調査の「農林漁家世帯を除く二人以上世帯」で見てみると、統計が開始された1963年には38.7%だったものが、2005年には22.9%にまで大きく低下した。 ところが、1990年台半ばになるとエンゲル係数の低下傾向は非常に緩やかになり、1995年の23.7%から2005年の22.9%まで10年間の低下幅はわずかに0.7%ポイント、1年当たりの低下幅では0.07%ポイントにとどまって