【ブリュッセル=井田香奈子】NATOの次期事務総長人事をめぐり、4年前にデンマーク紙に掲載されたイスラム教の預言者ムハンマドを描いた風刺画をめぐる問題が再燃している。デンマークのラスムセン首相で根回しが進んでいたが、国民の多数を占めるイスラム教徒の反発を懸念したトルコが反対を表明。3日からのNATO首脳会議で予定していたお披露目は遅れる可能性が出てきた。 事務総長人事は28加盟国すべての合意が必要で、NATO外交筋によるとほとんどの国がラスムセン首相で内諾していた。しかし、トルコ側が「イスラム過激派を相手にする組織がデンマーク出身者をトップに据えるのは適切ではない」と指摘した。 風刺画は05年に掲載されてイスラム社会が反発。昨年、作者の殺害計画が発覚した際も、複数のデンマーク紙が同じ風刺画を掲載し、6月にパキスタンのデンマーク大使館が自爆テロに遭うなど、問題は収まっていない。