【ロンドン=尾形聡彦】スイスの金融最大手UBSは18日夜、顧客の脱税を助長してきたことを認め、「不正事業」から得た利益など7億8千万ドル(約730億円)を支払うことで、米司法省と和解したと発表した。スイスの銀行の「秘密口座」は、富裕層が資産を不正に隠す場として長年批判されており、大きな転換点になりそうだ。 UBSは、米国との間の「秘密口座」事業から完全撤退する方針。脱税に寄与してきた秘密口座の情報を、米司法省側に提供することも約束した。250〜300人分の情報を米当局に渡すという。今後、富裕層などによる脱税事件の大規模摘発に発展する可能性もありそうだ。 UBSのクーラー会長は「法律を守ることができず後悔している」との声明を出した。スイス政府の金融担当の幹部は19日緊急会見し、「脱税者を守ることはしない」と述べた。