スイスと言えば、豊かな自然、国際機関、永世中立国、銀行の秘密口座が思い浮かぶ中で、意外と知られていないのが税制の優遇措置だ。 スイスは連邦制の下、26の州(カントン)と2889もの市町村(ゲマインデ)で構成される。連邦政府のみならず、各自治体も課税権を持っており、税金は連邦、州及び市町村の3つの行政レベルで課されることになる。 「3段階課税」というと、実効税率は高くなるような印象を受けるのだが、一部の州(及び市町村)では、非常に低い税率を売り物にしており、3つ合わせた個人所得税の実効税率は平均でも20%前後、中には15%程度の州もある。各州はそれぞれ独自性を出して差別化競争を展開している。 テーラーメードの税制に引かれ、海外の富裕層が移住 例えば外資誘致に熱心な州や市町村は、その個人に適した税制を適用するテーラーメード型の税率を課す例もある。実際、モータースポーツの最高峰、F1(フォーミュ