禁じられたミナレット イスラム教の象徴である三日月を抱いたミナレット(イスラム教寺院の尖塔(せんとう))が、この地にも完成しているはずだった。スイス北部ランゲンタール市の家具店店員、ムタリプ・カラアデミ氏は「スイスは宗教の自由が認められた国のはずなのに、悲しい気持ちになる」と表情を曇らせた。 1982年、出稼ぎ労働者として旧ユーゴスラビア・マケドニアからやって来たアルバニア人だ。「当時、ランゲンタール市にはイスラム教礼拝所がなく、75キロ離れたチューリヒの礼拝所に出かけていた」と振り返る。 91年に同市でもアルバニア人のイスラム教徒が中心になって金属工場跡を借り、礼拝所を開設した。現在では120世帯がお祈りに訪れる。2006年、カラアデミ氏は礼拝所の改装に合わせてミナレットの増築を計画し、07年に市当局の許可を得た。 スイス国内には現在、4つのミナレットがあるが、「ミナレットは宗教ではなく