狙い通り宿泊客殺到 「どぶろくを始めた年は、予約電話が殺到し、断るのが大変でした。1カ月で前年の1年分の客が泊まった月もあります」 “民話の里”として知られる岩手県遠野市。中心部から約20キロ北の早池峰山のふもと、同市上附馬牛(かみつきもうし)町で農家民宿「ミルクイン江川」を経営する江川幸男さん(59)は、振り返った。 江川さんは遠野市が平成15年11月、全国に先がけて認められた「どぶろく特区」(ふるさと再生特区)に名乗りを上げ、16年3月から、宿泊客に自家製どぶろくを提供した。明治32年に禁止されて以来、105年ぶりに復活させた点や、当時の小泉純一郎首相にどぶろくをふるまうニュースが流れたこともあって、「ぜひ宿泊してどぶろくを」という電話が相次いだ。 11年秋に一家で民宿を始めた江川さん。15年の年間宿泊客は約150人だが、翌16年は500人以上が泊まった。「視察に来た人も含めると約80