【パリ=国末憲人】不景気でリストラや工場閉鎖しようとする企業経営者を従業員が監禁する事件が、フランスで続発している。ひと晩程度で解放するが、犯罪は犯罪。しかし警察はほとんど介入せず、多くの場合労働者側が譲歩を勝ち取っている。 仏南部トゥールーズ郊外で20日夕、米資本系の自動車部品工場の従業員らが工場長と工場の採用責任者の2人を監禁した。工場は採算が見込めないとして、米経営陣が6月に閉鎖する方針を示していた。同工場の労組「労働総同盟」(CGT)支部の幹部は「暴行はしていない。警察官は工場の前に来ているが、3人だけで何もできない」としたうえで、「我々が満足する結果を得られれば2人を解放する」と条件を突きつけた。 仏では3月、閉鎖に伴う解雇条件をめぐって労使が対立した南西部ダックス近くの「ソニー・フランス」の工場で社長らが一夜監禁されたのを手始めに、同様の事件が相次いだ。中部ピチビエの製薬工