岩手県大船渡市の20、30代の漁師が消費者への直販で販路を広げてきたホタテ「恋し浜」が昨年末、商標登録を取得し、“元気な漁業”の典型として注目を集めている。若い漁師たちの取り組みには、丹精込めて養殖したホタテへの熱い思いと、「浜値を上げたい」という地域の強い願いがあった。(中川真) 「鮮度、味、安全性に絶対の自信がありますよ」 商標登録を取得した小石浜青年部の佐々木淳代表(38)は、9人の仲間たちと胸を張る。 全世帯29戸の小石浜地区は、三陸のリアス式海岸に面した小石浜漁港を拠点に、ホタテやホヤ、最近ではムール貝の養殖漁業で生計を立てている。 だが、次代を担う漁師たちには長年、根強い不満があった。岩手産のホタテ、ワカメ、ウニなどは、10日ごとの共同販売(共販)による事前入札で取引される。このため、安値で買われることが多かったからだ。 そこで平成15年11月、佐々木さんらが始めたのが、消費者