「パンドラの箱が開いた」。日本マクドナルドが8月から店長らに残業代を支払う報酬制度の導入を発表した記者会見の会場で、こんなつぶやきが聞かれた。 外食業界では店長を労働基準法上の管理監督者と見なして残業代を支払っていない企業が多い。しかし、外食最大手の決断で流通企業全般が影響を受けるのは必至。人手不足で人件費が高騰しているうえに残業代の支払いを強いられては、財政的な打撃は避けられないというわけだ。 一方、日本マクドナルドでは、原田泳幸会長兼社長兼CEO(最高経営責任者)が「会社の財務にインパクトはない」と言い切った。残業代を支払う制度は作ったが、店長の残業が発生しない労働環境も整えたため、実際には残業代を支払わずに済む目算があるという。 紹介制で人材難をクリア 原田CEOの青写真はこうだ。「店長の残業が発生する最大の原因は、パート・アルバイト(P/A)の代わりに自身で接客など現場の仕事をする