生活保護を受けている家庭の子を対象に、自治体が無料学習会を開いたり塾代を補助したりするなど進学支援に乗り出す例が増えている。低所得や家庭環境が原因で子どもが教育機会を失い、貧困が次世代に引き継がれる「連鎖」を防ごうとの狙いだ。学校が担ってきた学力指導に福祉行政が動き始めた。 9月中旬、埼玉県内の母子家庭を県の教育支援員らが訪ねた時のことだ。母親は中学3年生の息子と並んで、ほっとした表情を見せた。 「夏季講習は7万円かかると聞いたので、子どもを通わせることができなかった。学習教室は助かります」 県は今月2日、生活保護家庭で育つ約650人の中3生を対象に無料の学習教室をスタートさせた。全県レベルでの展開は全国で初めて。参加者を掘り起こそうと、30人の教育支援員らが9月から、家庭訪問を続けている。年間予算は約1億1600万円。生活保護世帯の全日制高校進学率(今春68%)を5ポイント上げるの