ビタミンBの一種「葉酸」の十分な摂取が高齢者の脳卒中や認知症の予防に役立つことが、海外の取り組みで明らかになってきた。米国では10年前に穀物に葉酸添加を義務付けたことで、脳卒中の死亡率が激減するなどさまざまな効果が報告されている。一方、日本では他の栄養素と同じ扱いで、必要量を摂取できていない人も少なくない。特に高齢になると葉酸を吸収しにくくなるので、意識的に摂取した方がよさそうだ。(平沢裕子) 葉酸はホウレンソウなどの緑黄色野菜や豆類に含まれる水溶性のビタミンB群の一種。「造血のビタミン」ともいわれ、主に赤血球をつくる働きがあるほか、胎児の中枢神経系など新しく細胞をつくるときに必要な栄養素としても知られる。 米国では1998年、日本の厚生労働省にあたる米食品医薬品局(FDA)が主食となる穀類への葉酸添加を義務付けた。この結果、新生児の二分脊椎(せきつい)などの「神経管欠損障害」が約2割減少