パスカルという科学者がいる。 気圧に関する研究を行いその単位に名を残した、自然科学黎明期の科学者の一人だ。 彼はまた哲学者としても知られており 「人間は考える葦である」という言葉はあまりにも有名だ。 その彼が行った「パスカルの賭け」という有名な思考実験がある。 これはいわばゲーム理論の走りとでも言うべきもので、 神が存在する場合しない場合に、それぞれ神を信じることと信じないことの利益不利益を考え、 どのような行動を取れば利益が最大になるか考えるという内容だ。 「神は存在するか、しないか。きみはどちらに賭ける? いや、どちらかを選べということがまちがっている。正しいのは賭けないことだ。 そう。だが、賭けなければならない。君は船に乗り込んでいるのだから。」 すでにこの世に生きている以上、この勝負を降りることはできない。 賭けないということ自体が、結果的に一つの選択となるからだ。 賭け金は自分の