主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)が開かれていた今月8日、東京・霞が関の官庁街に衝撃が走った。産業・通商政策を担う経済産業省のトップ、事務次官に望月晴文資源・エネルギー庁長官(58)の就任が発表されたからだ。望月氏は本省で局長を務めた経験がないだけでなく、エネ庁長官から事務次官に直接就任したのも前例がない。省内だけでなく、マスコミさえも欺いた今回の次官人事。その背景には、強烈な資源・エネルギー政策を打ち出すことで産業界への発言力を高めようとする経産省の野望がうかがえる。 8日夕方。都内で配達された朝日新聞に小さな人事記事が掲載された。そこでは経産省が北畑隆生次官(58)の後任として、鈴木隆史経済産業政策局長(59)を充てる方針であることが報じられていた。筆頭局長である経産政策局長は次官の待機ポストとも呼ばれ、鈴木氏は本命中の本命だ。その記事を読んだ省内の若手幹部は「やっぱり」と思った。