ITエンジニアが企業を退職する際に「競合企業への就職を禁じる」という内容の「競業避止契約」を求められることがある。しかし,職業選択の自由との兼ね合いから,この契約は無効の場合もある。 金属鋳造用の資材を製造・販売する有限会社フォセコ・ジャパン・リミテッドは,技術上の秘密を守るため研究開発部門の従業員に対し「機密保持手当」を支給していた。1969年6月,研究開発部門に11年間勤務していた従業員と,同部門に7年間所属した後4年間セールス・エンジニアとして勤務していた従業員の2人が相次いで同社を退職し,間もなく設立された競合企業の取締役に就任した。 フォセコと2人の元社員は,「在職中も退職後も業務上知り得た秘密を他に漏らさず,退職後2年間は競合企業に関与しない」という内容の「競業避止契約」を結んでいた。そこで,フォセコは「金属鋳造用資材の製造・販売業務に従事することの禁止」を求めて,裁判所に提訴
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