今年わが国でも、勃起(ぼっき)不全治療薬「バイアグラ」に続いて、性解放の象徴的存在だった低用量ピルが解禁された。すでにタブーなどなきに等しいといわれる現代の性現象をさらに加速させるのではないかと注目されている。今、セックスは現代人を理解するキーワードとして、心理学はもちろん、社会学、歴史学、脳科学などの分野でも大切なテーマとなり、表舞台で語られるようになった。 「家庭とくらし」面で、シリーズ「性の風景」を取り上げてから3年。今回は、性を取り巻く環境が大きく変わった世紀末の状況を改めて見つめてみたい。(永峰 好美、菊池 裕之、大森 亜紀) 「万歳! 20代の青春時代に戻ったみたいだ。かみさんにもほめられた」 埼玉県で会社を経営する明彦さん(56)(仮名)は日曜の早朝、学生時代からの親友宅に喜々としてファクスを送った。男性の勃起不全治療薬「バイアグラ」を初めて試した日のことだ。 まもなくその友