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ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (26)

  • 200年ぶりに大西洋でコククジラを目撃、「とんでもないこと」

    コククジラ(写真はメキシコ、バハカリフォルニア州の海を泳ぐメスとその子ども)は1700年代後半以降、捕鯨によって大西洋からはほぼ一掃されてしまった。(PHOTOGRAPH BY HIROYA MINAKUCHI/MINDEN PICTURE) 3月1日、調査のために米国マサチューセッツ州の沿岸を飛行しているとき、研究者たちは、予想すらしていなかったものを発見した。1頭のコククジラが、この種としては200年以上も目撃されていない場所で潜水し、浮上したのだ。 米ニューイングランド水族館の科学者たちは最初、眼下にいるのはセミクジラだと考えた。セミクジラはこの地域で絶滅の危機にあるため、定期的に監視されている。 しかし、しばらく時間をおいた後、もっとよく見ようと元の場所に戻って撮影すると、灰色の体には斑点があり、頭部は細長い三角形だとわかった。どちらもコククジラの特徴だ。 3月1日に目撃されたコク

    200年ぶりに大西洋でコククジラを目撃、「とんでもないこと」
  • なぜ無効な成分が市販のかぜ薬にずっと使われているのか?

    鼻づまりを改善する成分として多くの市販薬に使われてきたフェニレフリンは、飲み薬では効果がないと報告されていた。(PHOTOGRAPH BY NEWSCAST/UNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES) 鼻づまりを改善する成分として一般的な市販薬に使われてきた「フェニレフリン」は、飲み薬(経口薬)では効果がないという結論が、米品医薬品局(FDA)の諮問委員会によって下された。かぜとインフルエンザのシーズンが近づき、新型コロナウイルス感染症の流行も続く中、米国の消費者の間に動揺が広がっている。 フェニレフリンは、処方箋なしで買える多くの市販薬に使われている。鼻づまりを緩和する成分が含まれているとうたう米国の製品の大半にはフェニレフリンが入っていると、米テキサス大学ヒューストン医療科学センターの耳鼻咽喉科医で助教授のジェイソン・タルマッジ氏は言う(編注:日でもフ

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  • 映画『インディ・ジョーンズ』が考古学にもたらしたもの

    パナマのエル・カーニョで金の装飾品を発掘する考古学チーム。映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の公開を受けて、考古学が再び脚光を浴びている。(PHOTOGRAPH BY DAVID COVENTRY, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 6月30日に公開された映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は、1981年の『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』から始まったシリーズの最終作だ。実在か否かを問わず世界で最も有名な考古学者であるインディ・ジョーンズ博士は、今回もまた、多くの物の考古学者たちの目を丸くさせることになるかもしれない。 この映画の制作総指揮にあたったスティーブン・スピルバーグは、1975年に映画『ジョーズ』を制作してからサメが悪者扱いされるようになってしまったことを深く後悔していると語ったことがある。たしかに、多くのサメが狩られ、偏見が生じた。けれ

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  • 第162回 「次に何が来るか?」鎌を持つカマバチから擬態無限展開

    カマバチの一種(セイボウ上科:カマバチ科)のメス Dryinid wasp (Chrysidoidea: Dryinidae), female 葉の下、茎の部分で休んでいるところ。 体長:7 mm 撮影地:コスタリカのモンテベルデ、標高1500 m 今年のコスタリカのモンテベルデは、1カ月ほど遅めに雨季に入った。途端に生きものたちが活発に動き始める。 さて、今年の3月末、野外調査中、長いカーボンの枝切り竿が電線に接触してしまい、15万ボルトもの電流が体を突き抜けていき、自分は一度死んで蘇った。特殊な火傷を負ったが、引き続き同じ人生を歩み続けている。不便はつきものだけど、幸いにも日からの二人の若者、FumiさんとToshiくんに日常生活のことも含め調査など手助けをしてもらっている。 その二人がなぜか最近、滅多にお目にかかれないカマバチという小さな寄生バチを1種ずつ見つけてくれた。カマバチの

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  • 卵アレルギーの原因物質がない卵を開発、広島大など

    子どもの重度の鶏卵アレルギーに悩む研究者らの産学連携グループが、原因物質の一つであるオボムコイド(OVM)を除去した卵をゲノム(全遺伝情報)編集技術で作製した。孵化させ育ったニワトリを交配して生まれた卵もOVMが含まれず、遺伝子にも異常がないなど安全性を確認したという。今後、加工調理した卵をべた際のアレルギー反応の有無などを調べ、製品化を目指す。医療用ワクチンへの応用も期待している。 加熱で消えない原因物質を遺伝子ごと除去 研究に取り組んだのは、広島大学大学院総合生命科学研究科の堀内浩幸教授(免疫生物学・動物生命科学)のグループと、キユーピー研究開発技術ソリューション研究所のメンバー。 広島大の堀内教授は家族が重度の品アレルギーに悩んでおり、長男の場合、ごく微量の卵が混入しているだけで反応した。「家族旅行に行ってもお土産が買えないし、遠出のためのワクチンも接種できない。なんとかなら

    卵アレルギーの原因物質がない卵を開発、広島大など
  • 卵アレルギーの原因物質がない卵を開発、広島大など

    子どもの重度の鶏卵アレルギーに悩む研究者らの産学連携グループが、原因物質の一つであるオボムコイド(OVM)を除去した卵をゲノム(全遺伝情報)編集技術で作製した。孵化させ育ったニワトリを交配して生まれた卵もOVMが含まれず、遺伝子にも異常がないなど安全性を確認したという。今後、加工調理した卵をべた際のアレルギー反応の有無などを調べ、製品化を目指す。医療用ワクチンへの応用も期待している。 加熱で消えない原因物質を遺伝子ごと除去 研究に取り組んだのは、広島大学大学院総合生命科学研究科の堀内浩幸教授(免疫生物学・動物生命科学)のグループと、キユーピー研究開発技術ソリューション研究所のメンバー。 広島大の堀内教授は家族が重度の品アレルギーに悩んでおり、長男の場合、ごく微量の卵が混入しているだけで反応した。「家族旅行に行ってもお土産が買えないし、遠出のためのワクチンも接種できない。なんとかなら

    卵アレルギーの原因物質がない卵を開発、広島大など
  • 卵アレルギーの原因物質がない卵を開発、広島大など

    子どもの重度の鶏卵アレルギーに悩む研究者らの産学連携グループが、原因物質の一つであるオボムコイド(OVM)を除去した卵をゲノム(全遺伝情報)編集技術で作製した。孵化させ育ったニワトリを交配して生まれた卵もOVMが含まれず、遺伝子にも異常がないなど安全性を確認したという。今後、加工調理した卵をべた際のアレルギー反応の有無などを調べ、製品化を目指す。医療用ワクチンへの応用も期待している。 加熱で消えない原因物質を遺伝子ごと除去 研究に取り組んだのは、広島大学大学院総合生命科学研究科の堀内浩幸教授(免疫生物学・動物生命科学)のグループと、キユーピー研究開発技術ソリューション研究所のメンバー。 広島大の堀内教授は家族が重度の品アレルギーに悩んでおり、長男の場合、ごく微量の卵が混入しているだけで反応した。「家族旅行に行ってもお土産が買えないし、遠出のためのワクチンも接種できない。なんとかなら

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  • 天の川銀河面からの“幽霊粒子”ニュートリノをついに検出、南極

    南極にあるアイスキューブ・ニュートリノ観測所。天文学者たちは、天の川銀河の銀河面が放出する高エネルギーニュートリノを検出した。(PHOTOGRAPH BY FELIPE PEDREROS, THE NEW YORK TIMES/REDUX) 南極の氷の中に建設された巨大なアイスキューブ・ニュートリノ観測所により、天の川銀河(銀河系)の銀河面(銀河系の円盤部分。地球からこれを見たものが帯状の天の川)から放出されたニュートリノが初めて検出された。 6月29日付けで学術誌「サイエンス」に発表されたアイスキューブチームの発見は、銀河系が宇宙の高エネルギー現象のしくみを解明する鍵となりうることを意味しているという。宇宙線の一種であるガンマ線の観測では、天の川の銀河面からガンマ線が放出されていることが知られていた。ガンマ線とニュートリノは関係が深いため、銀河面から放出されていると予想されていたが、これ

    天の川銀河面からの“幽霊粒子”ニュートリノをついに検出、南極
  • トンガ噴火、高度2000kmの宇宙空間まで「電離圏の穴」が生成

    2022年1月のトンガ沖海底火山噴火後に発生した、大気上層部の電離圏で電子密度が急激に低くなる「プラズマバブル」生成の解析に成功したことを名古屋大学宇宙地球環境研究所などのグループが明らかにした。「電離圏の穴」とも呼ばれ、宇宙空間の出来事に由来すると考えられてきたが、地表の現象の影響も受けていることが判明。今後の防災に役立てることも期待できるという。 電離圏は高度60~1000キロメートルに分布する。太陽の紫外線や放射線によって大気に存在する原子や分子の一部が電離している圏で、高度300キロメートル付近で電子密度が最大となる。電波の反射や散乱が起こる性質を利用し、短波放送や無線、FMラジオなどの伝播に用いられている。 プラズマバブルは、電離圏の電子密度が低くなる現象のこと。大規模なプラズマバブルが発生すると、電波障害や無線の干渉などを引き起こす。これまで太陽の表面で爆発が起こるフレアなど「

    トンガ噴火、高度2000kmの宇宙空間まで「電離圏の穴」が生成
  • トコジラミについて知っておきたいこと、5つの誤解をただす

    90倍に拡大したトコジラミ(Cimex lectularius)の顕微鏡写真。(PHOTOGRAPH BY MURAWSKI, DARLYNE A. DR., NATIONAL GEOGRAPHIC) ホテルでトコジラミが発生したという話題は、米国のローカルニュース番組で夏の風物詩と化している。休暇が台無しになったと涙ぐむ人のエピソードや、トコジラミに刺された箇所に残る小さくて赤い跡のクローズアップ、それにCimex lectulariusという学名を持つトコジラミに関する解説画像。まるで夏の大作映画の悪役のような扱いだ。(参考記事:「殺虫剤をはねのけるトコジラミの進化」) シラミと名が付くものの、実はカメムシの仲間であるトコジラミ(ナンキンムシ)。適温が25℃前後とされるトコジラミは、夏によく発生する。成虫の大きさは5~8ミリ。刺されると夜も眠れないほどかゆくなったり、ひどいと熱が出たり

    トコジラミについて知っておきたいこと、5つの誤解をただす
  • トコジラミについて知っておきたいこと、5つの誤解をただす

    90倍に拡大したトコジラミ(Cimex lectularius)の顕微鏡写真。(PHOTOGRAPH BY MURAWSKI, DARLYNE A. DR., NATIONAL GEOGRAPHIC) ホテルでトコジラミが発生したという話題は、米国のローカルニュース番組で夏の風物詩と化している。休暇が台無しになったと涙ぐむ人のエピソードや、トコジラミに刺された箇所に残る小さくて赤い跡のクローズアップ、それにCimex lectulariusという学名を持つトコジラミに関する解説画像。まるで夏の大作映画の悪役のような扱いだ。(参考記事:「殺虫剤をはねのけるトコジラミの進化」) シラミと名が付くものの、実はカメムシの仲間であるトコジラミ(ナンキンムシ)。適温が25℃前後とされるトコジラミは、夏によく発生する。成虫の大きさは5~8ミリ。刺されると夜も眠れないほどかゆくなったり、ひどいと熱が出たり

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  • エチオピアの生肉ビーフタルタルほか、アフリカとオセアニアのグルメ秘話4皿

    エチオピアの生肉ビーフタルタル──キトフォ(エチオピア) エチオピアのキトフォ専門店に行くと、メニューには文字どおりキトフォしかないことがよくある。キトフォは、牛肉の細かいミンチに「キッベ」という濃厚なハーブバターと「ミツミッタ」という粉末チリミックスを混ぜた料理だ。 たいていは牧草だけで育った牛を使うため、ハーブの香りと肉のうまみが最大限に引き出される。なめらかで柔らかな感のため、ほとんどそしゃくの必要がない。しっとり輝く牛ミンチに添えられるのは、通称「ゴメン」と呼ばれるコラードの葉、アイブというエチオピア産のチーズ、それにインジェラという酸味のあるスポンジのようなパンだ。パンは配膳用の容器も兼ねる。 キトフォをべるときは、いくつかリスクが伴う。その1つが、一緒に寄生虫をべてしまうことだ。これを避けるため昔から肉屋は、虫がいないという牛の両肩の間の肉を使うようにしている。エチオピア

    エチオピアの生肉ビーフタルタルほか、アフリカとオセアニアのグルメ秘話4皿
  • ニシン漁と日食観測

    1948(昭和23)年5月9日、アジアを中心に日が見られた。しかし、天気が悪ければ観測できない。この機会を確実にとらえようと、ナショナル ジオグラフィック協会はミャンマーからアリューシャン列島にかけて7つの観測隊を派遣した。その観測点の一つが北海道の礼文島だった。 写真は1949年3月号の特集「日作戦1948」に掲載された1 枚で、礼文島に到着した観測隊が漁船を訪れている場面。奥に見えるのは利尻島の利尻山だ。日米合同の観測隊が着いたとき、礼文島ではニシン漁が始まっていた。当初、漁師は彼らを歓迎していなかったが、その後、記録的な大漁に恵まれると、観測隊が幸運をもたらしてくれたと言って観測に協力するようになった。島中にニシンが干され、そのにおいに悩まされながらも、観測隊は住民たちの厚意に深く感謝していた。 幸運は観測隊にも訪れた。当日、空は雲に覆われていたのだが、日の直前に風が吹き始める

    ニシン漁と日食観測
  • ダークマター&エネルギーの謎に迫る、宇宙望遠鏡の打ち上げ成功

    正体不明だが宇宙の組成の計95%を占める暗黒物質と暗黒エネルギーの謎の解明を目指す欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ユークリッド」が日時間2日、打ち上げに成功した。100億光年先までの数十億の銀河を観測して正確な3次元地図を作成。これを手がかりに、宇宙の構造に大きく影響してきた暗黒物質や暗黒エネルギーの理解を進める。 ユークリッドは2日午前0時12分、米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から米スペースX社の「ファルコン9」ロケットで打ち上げられた。41分後、所定の軌道に投入され打ち上げは成功した。 ESAのヨーゼフ・アッシュバッハー長官は「現代科学の最も切実な疑問の1つに答えるための新たな取り組みの始まりだ。宇宙の根疑問に答えようとする探求こそが、私たちを人間たらしめる。ESAは宇宙への欧州の野心と成功の拡大に尽力している」とコメントした。

    ダークマター&エネルギーの謎に迫る、宇宙望遠鏡の打ち上げ成功
  • 魔のバミューダ・トライアングル、伝説の誕生と消失の謎を追う

    1942年9月、米国バージニア州ノーフォーク上空を5機で編隊飛行するグラマン社のTBF-1アベンジャー。1945年にバミューダ・トライアングルで消失したフライト19編隊は、同型の航空機5機で飛行していた。(COURTESY NATIONAL ARCHIVES) 「バミューダ・トライアングル」はフロリダ州マイアミ、バミューダ諸島、プエルトリコを結んだ三角形の海域だ。誰も統計を取っていないが、過去100年間に、多くの船や航空機がこの三角形の中で跡形もなく消えている。 この海域の奇妙な特徴は以前から指摘されていた。クリストファー・コロンブスは航海日誌に、コンパスが示す方位の異常について記していた。しかし、この海域がバミューダ・トライアングルと広く呼ばれるようになるのは、1964年8月に米海軍の雷撃機編隊フライト19の消失事件が「アーゴシー」誌の表紙を飾ってからだ。作家のビンセント・ガディスがこの

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  • 地球グルメ大図鑑

    おいしいもの、お好きでしょう? この一冊でお腹いっぱいになれる、のワンダーランド! 〔全国学校図書館協議会選定図書〕 2023年5月29日発行 定価:4,290円(税込) 書の内容 おいしいべ物、珍しいべ物、世界の名物料理、風変わりなの習慣、 あのべ物を広めた有名人、移民料理、変わった料理イベント、名物店などなど にまつわる楽しいエピソードを500も収録。 ●ニューヨークタイムズ、USAトゥデイなどのベストセラーリスト入り。 ●アリス・ウォータース、ダン・バーバー、ホセ・アンドレなど有名シェフも続々絶賛。 ●米国の人気ブログ「アトラス・オブスキュラ」から誕生した、「」の愉しみが詰まった1冊。 例えば── ある村でしかべられない手延べパスタ(イタリア)、トゲトゲのバームクーヘン(リトアニア)、ティーポットで作るスープ(アフガニスタン)、二黄卵の町(中国)、くさいマンゴー(マ

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  • トルコの火山の謎を解明、マグマの源は2500km先の東アフリカ

    トルコ、ギョレメ近郊のカッパドキアの火山地帯を馬で通過する人々。トルコ内陸部の火山活動が何によって引き起こされているのかは、長い間謎とされてきた。(PHOTOGRAPH BY JOHN WREFORD, SOPA IMAGES/LIGHTROCKET/GETTY IMAGES) トルコは3つの大きなプレートの間に挟まれたアナトリアプレートの上に位置しており、世界でもとりわけ地震活動が活発な地域だ。2023年2月にトルコとシリアを襲ったマグニチュード7.8と7.5の地震は、アナトリアプレートが南に隣接するアラビアプレートに対してずれることによって発生した。(参考記事:「地震はなぜ、どのように起きるのか、世界で年平均4万人弱が犠牲」) だがこの地域には、長年科学者を悩ませてきた謎がある。それは、トルコの内陸部になぜ火山があるのかという問題だ。一般に火山活動はプレートの境界付近で起こるが、トルコ

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  • イルカも「母親語」で子に話す、発声の学習を促すためか、研究

    米国フロリダ州のクリアーウォータービーチで、海面からジャンプするハンドウイルカの親子。イルカが発するシグネチャーホイッスルは、個体によって異なり、名札のような役割を果たしている。(PHOTOGRAPH BY LYNN M. STONE, NATURE PICTURE LIBRARY) どんなに気難しい人間でも、赤ちゃんに話しかけるときには、そのふっくらした頬を見て、思わず顔が緩んでしまうものだ。 そして、短い文で、言葉を強調して、全体的に歌を歌っているようなリズムで話しかけてしまう。「赤ちゃん言葉」と言われることもあるが、研究者たちはこれを「マザリーズ(motherese、母親語)」、またはより専門的な言葉で「対乳児発話」などと呼ぶ。 人間以外で子どもに対して鳴き声を変化させる動物は、キンカンチョウ、アカゲザル、リスザルなどわずかしか確認されていない。ところが、米マサチューセッツ州にあるウ

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  • 途方もない重力波を検出、波長は数光年から数十光年、初の証拠

    2つのブラックホールがお互いの周りを回りながら近づく様子を描いた図。このときに重力波を発する。(ILLUSTRATION BY MARK GARLICK, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 時間と空間が織りなす巨大な重力波が検出されたことを示す証拠が得られた。その波長は、なんと数光年から数十光年だという。新たに発表された研究によると、このような波長の重力波の存在を示す証拠が見つかったのは初めてで、最大で太陽の100億倍という質量をもつ超巨大ブラックホールどうしの合体によるものではないかと考えられている。今回の発見の詳細は、2023年6月29日付けで学術誌「Astrophysical Journal Letters」に掲載された一連の論文にまとめられている。 この波を観測したのは、「北米ナノヘルツ重力波観測所」(NANOGrav)の研究者グループだ。68個のパルサーと呼ばれる回転

    途方もない重力波を検出、波長は数光年から数十光年、初の証拠
  • 謎の人類ホモ・ナレディが死者を埋葬した証拠、最古を10万年更新

    ライジング・スター洞窟に仲間の遺体を運び入れるホモ・ナレディの復元図。彼らが意図的に埋葬を行っていた可能性を示唆する新たな証拠は、人類の進化にまつわる現在の考え方に一石を投じるものだ。(ILLUSTRATION BY JON FOSTER, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 数十万年前に生きていて現在は絶滅した人類が、南アフリカの洞窟の奥深くに死者を意図的に埋葬し、意味のある図形を壁に彫り込んでいた可能性がある。そうした高度な行動は、一般にネアンデルタール人や現代のホモ・サピエンスに特有のものだと考えられている。もし埋葬の事実が確認されれば、知られている限りで最古の埋葬が行われた時期が少なくとも10万年早まることになる。 この主張は、査読前の論文を投稿するサーバー「bioRxiv」に2023年6月5日付けで公開された2の論文で発表されている。また、米ストーニーブルック大

    謎の人類ホモ・ナレディが死者を埋葬した証拠、最古を10万年更新