3社の新社長座談会 長引く不況に東日本大震災……と難題山積の出版界。文芸・学術の分野で伝統と実績のある3社の新社長に就任した河出書房新社・小野寺優、筑摩書房・熊沢敏之、中央公論新社・小林敬和の各氏に、抱負や展望を語り合ってもらった。(司会は増沢一彦・読売新聞東京本社文化部長) ――書籍・雑誌の販売額が2兆円を割り、昨年は1兆8000億円台。出版界の現状は厳しい。 小野寺 厳しいのは間違いないが、大震災以降、あえて今、書籍を出す意味は何か、強く意識している。節電や書店の営業時間短縮で一時的に売り上げは落ちたが、極端ではない。過剰に意識して何かをやめるのではなく、出すべきものを堂々と出していきたい。 小林 震災特集を組んだ雑誌「中央公論」の4月発売号は、売れ行きが良かった。時代の要請に応えるものを出せば、読者は必ず読んでくれる。出版の役割や活字の力はむしろ見直されている。 熊沢 何をもって不