2016年09月05日16:12 by 東京創元社 古屋美登里/『堆塵館』に至るまで エドワード・ケアリー『堆塵館』訳者あとがき カテゴリファンタジイ・ホラー 『堆塵館』に至るまで 古屋美登里 midori FURUYA 『堆塵館』に至るまで ついに、ようやく、とうとう……というのが、本書『堆塵館』の原書HEAP HOUSEを手にしたときに真っ先に浮かんだ言葉だった。鶴首して待つ、という言い方があるが、こちらはほとんど「ろくろ首」状態になっていた。 エドワード・ケアリーの鮮烈なデビュー作OBSERVATORY MANSIONS(邦題『望楼館追想』)」が刊行されたのは二〇〇〇年のことだった。これは、共同住宅になった広大な館で、互いに干渉せずに暮らす七人の大人が、新たな住人の登場によって戸惑いながらも変化を余儀なくされていく様子を描いた作品である。「ぼくは白い手袋をはめていた。両親と暮らしてい