《ティーン映画》というジャンルがあります。「10代の生きづらさ」というテーマはいつの時代も作品の主題となり、数多くの名作が生み出され、同世代の若者が「私たちの物語」として支持してきました。その一方で、こうしたジャンルの物語は、後から振り返ってみて「あの頃はこうだったなあ」と感じることはあるものの、時代が下るにつれ「私たちの物語」として受容されることは少なくなっていきます。 《カルト映画》という言葉があります。公開時よりも公開後に熱心なファンを獲得し、長期にわたって繰り返し鑑賞されるようになる作品です。『イレイザーヘッド』(1977、デヴィッド・リンチ[1])や『ピンク・フラミンゴ』(1972、ジョン・ウォーターズ)などがよく挙げられますが、個人的嗜好が前面に出た趣味性の高い作品だったり、早すぎて時代が追いつかなかった前衛的なSFだったりします。 《ティーン映画》と《カルト映画》は時代性の点