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ブックマーク / pikao.hatenablog.com (198)

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    ケン・ローチの『レディバード・レディバード』の凄さは「体制側の横暴により善良な市民が子供を奪われる」という単純な図式に陥っていないところだと思う。なぜなら主人公のマギーは「善良な市民」なんかではなくて、明らかに人間的に問題のある人物として描かれているから。それでも、杓子定規な行動によってマギーの子供を奪うのは、彼女の人間としての尊厳を奪っているのに等しいと思える。マギーのような「問題のある」人間は生きる価値がないとでもいうのだろうか? ケン・ローチは単純な「泣ける話」を作るのではなくて、映画を通して「基的人権」についての根源的な問いかけを行い、観客一人一人が自分自身の頭で考えることを促している。世界の負の側面をあれだけ描きながら、それでもまだ現実の社会で生きる人間を信じているってこと。やはりケン・ローチは真のヒューマニストと呼ぶに相応しい存在だと思う。 そして、安易な「ハッピーエンド」を

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    okbc99 2014/06/20
    “ケン・ローチの『レディバード・レディバード』の凄さは「体制側の横暴により善良な市民が子供を奪われる」という単純な図式に陥っていないところだと思う。”
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    『アナと雪の女王』はエレン・ペイジがカミングアウトした直後の公開となってタイミング的にはとても良かったんじゃないかな。この映画LGBTについての真摯な物語であることは、クライマックスの捻った展開(御伽話では「お姫様」が「王子様」の愛で救われるのが定番だけど、「お姫様」が「お姫様」の愛で救われてもいいはずだよね。もちろん、この場面での「愛」はシスターフッドの愛であるわけだが)や、氷の魔法がなくなってめでたしめでたし、とはならないところからも明らか*1。そして、決定的なのは「お前も雪の女王と同じモンスターなのか!?」と聞かれたアナが、「いいえ、私は普通(normal)の人間です」とは答えずに「いいえ、私は平凡な(ordinary)人間です」と(他意がないとしたら)やや不自然な言い回しで答えるところ。それはつまり、雪の女王を「モンスター」だと考えるのは偏見で、彼女は「異常」な存在なのではなくて

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    okbc99 2014/03/15
    "この映画がLGBTについての真摯な物語であることは、クライマックスの捻った展開//からも明らか"
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    映画『ファミリー・ウィークエンド』(監督:ベンジャミン・エップス)観賞。★★★。 『ラモーナのおきて』や『ホワイトハウス・ダウン』などでお馴染みのジョーイ・キングのコスプレ大会なんで参った参った。大好きな気持ち、モリモリだよ!あとは実年齢27歳なのに相変わらず16歳の役を演じている主演のオリーシア・ルーリンな。2006年の『ハイスクール・ミュージカル』の頃から良くも悪くも立ち位置がちっとも変わっていないという。 上から順に『タクシー・ドライバー』、『時計じかけのオレンジ』、『レザボア・ドッグス』。 IMDbの該当ページ

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    okbc99 2014/01/26
    “『ラモーナのおきて』や『ホワイトハウス・ダウン』などでお馴染みのジョーイ・キングのコスプレ大会なんで参った参った。”
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    『ビフォア・ミッドナイト』が公開されるので、過去作の『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』と『ビフォア・サンセット』を再見。『ビフォア・サンライズ』はやはり主題歌であるキャシー・マッカーティの「Living Life」(ダニエル・ジョンストンのカヴァー!)が素晴らしい。そして『ビフォア・サンセット』は非常に特殊な傑作であるなあと実感させられた。 何が特殊って、『ビフォア・サンセット』は映画内の時間と実時間の経過がほぼ一致している、つまり80分間の出来事をきっちり80分で語っているのである。しかもエンディングはジュリー・デルピーがニーナ・シモンの物真似をしているだけ! 人生ってのは、一見するとどうでもいいように思える何気ない今その瞬間こそが当に愛おしいものなのだ、ということを作品を通して完璧に描き切っていると思う。それはリンクレイターの初期の代表作である『バッド・チューニング』にも通じる

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    okbc99 2014/01/20
    “人生ってのは、一見するとどうでもいいように思える何気ない今その瞬間こそが本当に愛おしいものなのだ、ということを作品を通して完璧に描き切っている”
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    2013年の映画ベスト10。『City Island』はエミリー・モーティマーの最高傑作です。 01.『ウィ・アー・ザ・ベスト!』(ルーカス・ムーディソン) 02.『横道世之介』(沖田修一) 03.『シュガーマン 奇跡に愛された男』(マリク・ベンジェルール) 04.『City Island』(レイモンド・デ・フェリッタ) 05.『The Way Way Back』(ナット・ファクソン&ジム・ラッシュ) 06.『I Give It A Year』(ダン・メイザー) 07.『マーガレット』(ケネス・ロナーガン) 08.『プレミアム・ラッシュ』(デヴィッド・コープ) 09.『楽隊のうさぎ』(鈴木卓爾) 10.『ゼロ・グラビティ』(アルフォンソ・キュアロン) ちなみに2013年の最後に観た映画は『リリア 4-ever』でリリアを演じたオクサナ・アキンシナの映画デビュー作にして初主演作である『シスタ

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    okbc99 2014/01/01
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    映画『楽隊のうさぎ』(監督:鈴木卓爾)観賞。★★★★★。 これは鈴木卓爾の盟友である矢口史靖の『スウィングガールズ』への返答という側面もあるのかもしれない。『ひみつの花園』(大傑作)に代表される矢口史靖の初期作品は、ぶっ飛んだスクリューボール(変人)・コメディでありつつ、芯となっていたのは「居場所のない人間が自分の進むべき道を見つける話」であった。これには共作者だった鈴木卓爾の貢献が大きかったのではないかと思っていて、実際に2人が袂を分けて以降の矢口史靖は腑抜けたコメディを撮るようになってしまった。作はそんな矢口史靖の初期作品の質のみを抽出したかのような真摯な物語。明らかに俳優としては規格外の子供達の活き活きとした表情をたっぷりと見れるのも眼福っす(練習中にクリームパンってる奴!)。

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    okbc99 2013/12/19
    “これは鈴木卓爾の盟友である矢口史靖の『スウィングガールズ』への返答という側面もあるのかもしれない。”
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    映画『ウォールフラワー』(監督:スティーヴン・チョボスキー)観賞。★★★。 昨年10月に予想した通りに、作で描かれている内容のほとんどはすでにライアン・フレック&アンナ・ボーデンの『イッツ・カインド・オブ・ア・ファニー・ストーリー』できっちりと(アニメーションや誇張した回想シーンなどを交えることによって)映画的に描かれてしまっているのだった。そりゃあ90年代ノスタルジーに傾いている『ウォールフラワー』と、ブロークン・ソーシャル・シーンがスコアを手掛けている『イッツ・カインド・オブ・ア・ファニー・ストーリー』ではどちらが「今」の映画として説得力があるかって話ですよ。デヴィッド・ボウイ大フィーチャーということでは、『イッツ・カインド・オブ・ア・ファニー・ストーリー』でもクイーン&デヴィッド・ボウイの「Under Pressure」を登場人物達が(オリジナル音源に合わせた口パクで)大熱唱するし

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    okbc99 2013/12/04
    "(作り手の意志はどうあれ)性的虐待という深刻な社会問題を映画のテクニックとして利用しているだけじゃん。"それも含めて90年代の話という感じはした。
  • 2013-11-18

    映画『ばしゃ馬さんとビッグマウス』(監督:吉田恵輔)観賞。★★。 『純喫茶磯辺』(嫌い)『さんかく』(認めざるを得ない)の吉田恵輔の新作。34歳にして未だに「脚家志望」な女性(麻生久美子)を描いた「青春の終わり」ものだが、こういう作り手の人生観の浅さが露呈する作品は観ていてキツい。「夢」「夢」うるせえよ。結局のところ、作の価値基準は「他人から認めてもらえるか否か」というところにしか置かれていないのだ。麻生久美子が幸せそうに見えない/満たされていないように見えるのは、自分で自分を肯定できていないから。それ故に、賞を受賞したりして赤の他人から認めてもらう必要がある、というねじれに原因があるわけだが、作り手がそこに気付いているフシは見受けられない。たとえ他人から認められなくても(脚家としてっていけなくても)自分が納得のいく作品を追求して書き続けていけば、他人の評価がどうとか、自分に才能が

    2013-11-18
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    okbc99 2013/11/19
    “麻生久美子が幸せそうに見えない/満たされていないように見えるのは、自分で自分を肯定できていないから。それ故に、賞を受賞したりして赤の他人から認めてもらう必要がある、というねじれに原因があるわけだが、
  • 2013-11-19

    11月30日から渋谷ユーロスペースで開催されるスウェーデン映画祭2013でルーカス・ムーディソンの旧作『エヴァとステファンとすてきな家族』の特別上映が決定!(12月1日18時30分〜) 『ショー・ミー・ラヴ』や『リリア 4-ever』、『マンモス』、『ウィ・アー・ザ・ベスト!』はもちろんだけど、これも傑作なんで未見でお時間合う方は是非。東京国際映画祭のQ&Aセッションでルーカス・ムーディソンは「別に少女が主人公の映画ばかり撮ってるわけじゃないよ」と言ってたけど、これを観れば理解できるはず。アバの音楽が大フィーチャーされてるっすよ。

    2013-11-19
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    okbc99 2013/11/19
    “11月30日から渋谷ユーロスペースで開催されるスウェーデン映画祭2013でルーカス・ムーディソンの旧作『エヴァとステファンとすてきな家族』の特別上映が決定!(12月1日18時30分~)”
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    映画『ウィ・アー・ザ・ベスト!』(傑作!)の原作者のココ・ムーディソン、誰かに似てると思ったらエイミー・マンに似てるんだな(髪型の変化も含めて)。

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    okbc99 2013/10/20
    “映画『ウィ・アー・ザ・ベスト!』(傑作!)”もう観てるのか
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    She & Him/Volume 3 ★★★★★ 2010年秋にズーイー・デシャネルに会ってキャロル・キングの職業作家時代のデモ音源集『Brill Building Legends』をプレゼントした時に、「このコンピってすげえいいんすよー。エリー・グリーニッチ版も発売されてたりしますよ」という話を(日語で)したんだけど、作ではそのエリー・グリーニッチ版でしかCD化されていない彼女のソロ・ナンバー「Baby」がカヴァーされているのだった。すげえ嬉しいっすね。 映画『くまのプーさん』のサントラや、ズーイー主演のTVシリーズ『New Girl』の主題歌「Hey Girl」などでズーイーのオリジナル曲は断続的に発表されていたとはいえ、シー&ヒムとしての前作『A Very She & Him Christmas』がカヴァー集(クリスマス・アルバム)だっただけに、まさに待望というべき新作である。ズ

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    okbc99 2013/05/04
    She & Him の新作評。もう出てたのか。
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    昨年6月にオフ会で特集した、2011年のおいらのベスト1映画『The Winning Season』が『ハートボール』という邦題で4月にDVDレンタル開始されるんですね(3月末には『プリティ・フープ』という邦題でWOWOWでの放送もあり)。これは以前から書いているようにエマ・ロバーツ傑作3部作の中の1で、エマ・ロバーツ版『がんばっていきまっしょい』とでもいうべき青春映画なのでマジでお勧め。ベン・リーが書き下ろした主題歌「I'd Do It Again」も素晴らしいっす。

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    okbc99 2013/03/17
    "エマ・ロバーツ版『がんばっていきまっしょい』"
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    映画『シュガーマン 奇跡に愛された男』(監督:マリク・ベンジェルール)観賞。★★★★★。 素晴らしき哉、人生! 生き続けていれば、たまには良いことだって起こるというタフで優しい人生賛歌。事態の進展するきっかけが、ロドリゲスのファンが書いたCDのライナーノーツだってのも素敵じゃないか。たとえばこうやってブログを続けたり、CDのライナーノーツを書いたり、外に向けてアクションを行っていれば、時には奇跡が起こることだってあるんだねえ。こういう奇跡が起こる可能性が(ほんのわずかでも)あるから、人生は面白いんだっつうの。 ドキュメンタリー映画としては、あくまでも南アフリカ側の視点(=ロドリゲス・ファンの視点)に絞って描いているのが非常にクレバー。「自分達の世界を広げてくれた、海を隔てた遠い国のミュージシャンへの深い敬意・愛情」は日の洋楽ファンの目線とも自然に重なってくるし、だからこそロドリゲスの音楽

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    okbc99 2013/01/16
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    映画『ハッシュパピー バスタブ島の少女』(』(監督:ベン・ゼイトリン)観賞。★★★★★。 私はこの大きな大きな宇宙のカケラでしかない でもそんなカケラが合わさって この宇宙を形作っているのだ たとえ私が死んだとしても いつの日か 未来の科学者が発見するだろう 昔々 ハッシュパピーがパパと一緒にバスタブ島で暮らしていたことを 最高の生命賛歌!大傑作。 IMDbの該当ページ

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    okbc99 2012/12/15
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    映画『ウェイティング・フォー・スーパーマン』(監督:デイヴィス・グッゲンハイム)観賞。★★★★。 アップルの頑張りのおかげなのかは分からないが、日iTunes Storeで(DVDスルーにすらなっていない)未公開映画を購入/レンタルできるようになってきたのはありがたいやね。というわけで『不都合な真実』の監督であるデイヴィス・グッゲンハイムの最新作もめでたくオンデマンド・スルーに*1。とはいえ、彼の前作『ゲット・ラウド』は現在日でも劇場公開されているわけで、やっぱり日人にとってアメリカ教育問題は興味の対象外ってことなんだろうか。地球温暖化のありきたりなインフォメーションとアル・ゴアの講演風景を並べるだけに終始していた『不都合な真実』よりも、今を生きる子供達の姿がしっかりと描かれている作の方が遥かに面白いのになあ。まあ、おいら自身が教育制度からのドロップアウト経験者ということで、評

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    okbc99 2011/10/16
    "日本のiTunes Storeで(DVDスルーにすらなっていない)未公開映画を購入/レンタルできるようになってきたのはありがたい"へえ気づかなかった。
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    トーキョーノーザンライツフェスティバル2011(@渋谷ユーロスペース&アップリンク)の開催がいよいよ迫ってきたので再掲。注目すべきはもちろんルーカス・ムーディソンの初期監督作3が特集上映されるってことで、00年代最高の大傑作青春映画『リリア 4-ever』を観るチャンス! 2月12日(土)11:00〜 2月14日(月)16:00〜 2月18日(金)19:00〜 以上の3回の上映なので、時間が合う方はぜひ! 『リリア 4-ever』と合わせ鏡になっている彼のデビュー作『ショー・ミー・ラヴ』も上映されるので、こちらも観てクライマックスで流れるブローダー・ダニエルの「Underground」にシビれまくってくれ! 主題歌は今をときめくロビンの「Show Me Love」だし。ちなみにこの映画がt.A.T.u.のコンセプトの元ネタになったということも付け加えておく(彼女達に「Show Me Lo

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    okbc99 2011/02/02
    『ショー・ミー・ラヴ』と『リリア 4-ever』はt.A.T.u.でつながっていたのか!知らなかった。
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    映画『Mammoth』 (監督:ルーカス・ムーディソン) ★★★★★ ヒューマン・トラフィッキング/売春奴隷犯罪について描いた破格の傑作青春映画『リリア 4-ever』以降は、(まるで『ハードコアの夜』の主人公のように)その問題に没入するあまりに演出家としての自分を見失い、『A Hole In My Heart』や『Container』といった露悪的&自己満足なゴミ映画しか撮れなくなっていたルーカス・ムーディソンだが、作でようやくそのトンネルから抜け出たといっていいのではないだろうか。 今回はミシェル・ウィリアムズとガエル・ガルシア・ベルナルという国際的に知名度のある俳優を主演に起用しての格的な英語作品だが、特にアメリカ進出を狙っているわけではなさそうなところがいかにもルーカス・ムーディソン。ジェナ・マローンをナレーターに起用した『Container』はもしかしたら作の前哨戦的な意味

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    okbc99 2010/12/18
    ルーカス・ムーディソン『Mammoth』評。
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    映画『Easy A』(監督:ウィル・グラック)観賞。★★★★。 「『JUNO/ジュノ』以降」な青春映画としては現時点でベストといえるのではないだろうか。勝因はやはりエマ・ストーンを主演に起用したことにあると思う。全編に渡って主人公のモノローグで埋め尽くされているのに、ズーイー・デシャネル直系である彼女のハスキーな低音ヴォイスのおかげで浮ついたところが抑えられていて、陶しさを感じずにすむのだ。ストーリーが『緋文字』の変奏になっているのも、クラシカルな物語を新鮮な語り口で何度も語り直してきた学園映画の王道という感じで、なんとラストは『セイ・エニシング』&『ブレックファスト・クラブ』&『キャント・バイ・ミー・ラヴ』(!)へのオマージュだ! ウィル・グラックの前作『俺たちチアリーダー!』における気味の悪い妹としてお馴染みのジュリエット・ゴリアが作ではエマ・ストーンの子供時代を演じていたり、理解

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    okbc99 2010/11/05
    映画『Easy A』評。