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ブックマーク / blog.livedoor.jp/yamasitayu (10)

  • 五十嵐彰、迫田さやか『不倫―実証分析が示す全貌』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    2月14 五十嵐彰、迫田さやか『不倫―実証分析が示す全貌』(中公新書) 8点 カテゴリ:社会8点 お堅いイメージの強い中公新書とは思えぬテーマですが、カバーの見返しにある次の内容紹介を見れば、書がどんなかよく分かると思います。 配偶者以外との性交渉を指す「不倫」。毎週のように有名人がスクープされる関心事である一方、客観的な情報は乏しい。経済学者と社会学者が総合調査を敢行し、海外での研究もふまえて全体像を明らかにした。何%が経験者か、どんな人が何を求めてどんな相手とするか、どの程度の期間続いてなぜ終わるか、家族にどんな影響があるか、バッシングするのはどんな人か。イメージが先行しがちなテーマに実証的に迫る。 ただし、不倫のような世間的によくないとされていることを調べようとすると大きな問題に突き当たります。 例えば、周囲の知り合いの既婚者に「不倫したことある?」と聞いて回って、結果として不倫

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    okbc99 2023/02/15
  • 国立歴史民俗博物館監修・「性差の日本史」展示プロジェクト編『新書版 性差の日本史』(集英社インターナショナル新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    11月16 国立歴史民俗博物館監修・「性差の日史」展示プロジェクト編『新書版 性差の日史』(集英社インターナショナル新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 2020年に国立歴史民俗博物館で開催された企画展示「性差の日史」の図録をコンパクトな新書にまとめたのが書になります。 「性差」には「ジェンダー」とよみがなが振ってあり、今まで男性中心だった日史について女性の視点から改めて捉え直したのがこの展示であり、書です。  男性中心の歴史とは言え、卑弥呼、推古天皇、紫式部、北条政子と日史においては何人かの女性をあげることはできますが、書はそうした数少ない女性有名人をクルーズアップするのではなく、男性に比べて見えにくい社会における女性のはたらきを史料などを通して見ていくものになっています。 とり上げられている史料はどれも興味深く、カラーの図録が欲しくなってしまうところではありますが、展

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    okbc99 2021/11/17
  • 清水唯一朗『原敬』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    10月13 清水唯一朗『原敬』(中公新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 今年で没後100年を迎えた原敬の評伝。日初の格的な政党内閣を組織し、日の議会政治を大きく前に進めた人物ですが、板垣退助や尾崎行雄のように議会政治の「シンボル」のようなイメージがないのも原の特徴でしょう。 その、どちらかというと玄人受けする原の業績を、一般の人にもうまく伝わるように書いてあるのがこの評伝の特色であり、権力志向の人物と思われがちな原について、当時の時代状況をうまく説明することで、その理想や原を後押ししたものがわかるような構成になっています。 著者は同じ中公新書の『近代日の官僚』でも膨大な情報量を読みやすい文にうまく落とし込んでいましたが、書も詰まった内容ながら読みやすいです。 個人的に原敬というとテツオ・ナジタ『原敬―政治技術の巨匠』のイメージが強いのですが、それに比べるとこちらは「明るい」原

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    okbc99 2021/11/16
  • 芝健介『ヒトラー』(岩波新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    11月10 芝健介『ヒトラー』(岩波新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 『ホロコースト』(中公新書)などの著者が岩波新書から出す「ヒトラー」というド直球なタイトルのであり、しかもページ数を増やさない方針の岩波新書にもかかわらず、文だけで360ページのボリュームというものになっています。  ヒトラーの評伝については、ナチスのやったことすべてをヒトラーによるものだとすると、ヒトラーを良くも悪くも「すごい人物」として描くことなってしまいますし、逆に当時の社会状況や周囲の人物の影響を重点的に書くと、今度はヒトラーの責任が薄まってしまうというジレンマがあります。 このジレンマに対して、書はヒトラーの人物像、当時の社会状況、周囲の人物のすべてを書くことで、政治軍事において傑出した人物ではないが、ナチスの蛮行の責任を追うべき人物としてのヒトラーを描き出そうとしています。 このため、ページ数が増

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    okbc99 2021/11/11
  • 山本太郎『感染症と文明』(岩波新書) 10点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    7月11 山太郎『感染症と文明』(岩波新書) 10点 カテゴリ:社会10点 これは面白い! 近年、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』に見られるように、「感染症」を人類の歴史を決定づけた一つの大きな要因としてクローズアップする考え方が出てきています。このもそうした感染症と文明の関係を扱ったです。 ただ、ちょっと違うのは著者が歴史学者ではなく医師であるという点。感染症の特徴、そして感染のメカニズム、加えて感染症との「共生」という新しい考え方が打ち出されています。 農耕の開始と文明の出現は、また大規模な感染症の出現でもありました。 農耕の開始は多くの人口が狭い地域に暮らすことを可能にし、また同時に飼われはじめた家畜はさまざまなウィルスを持っていました。 定住は排泄された糞便の集積をうみ、そこに寄生虫が繁殖します。余剰料はネズミを呼び寄せ、そのネズミにいたノミやダニを通じて新たな病気

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    okbc99 2021/02/10
  • 森山優『日米開戦と情報戦』(講談社現代新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    12月12 森山優『日米開戦と情報戦』(講談社現代新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 「なぜ、日は敗色濃厚な対米戦争に突入してしまったのか?」 これは今まで何度も問われてきた疑問で、多くの論者が論じてきた問題です。その問題には日米英のインテリジェンスという視角から光をあてると同時に、その意思決定の過程を緻密に論じた。 複雑な意思決定の過程を日米英の視点から細かく追っているので、最初は少し読みにく感じもあるのですが、ある程度読み進めて、各国の意思決定のパターンがつかめてくるとパズルのピースがはまっていくように面白く読めると思います。 目次は以下の通り。 序章 日米は、なぜ戦ったのか 第1章 政策決定とインテリジェンス 第2章 「南進」と「国策」 第3章 独ソ開戦と南部仏印進駐 第4章 対立の深化から破局へ 結論 誰が情報戦の勝利者だったか このの序章に、「一般的に、日は先の大戦で

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    okbc99 2016/12/13
    “「両論併記」と「非(避)決定」の構造と、松岡のエキセントリックな発言が生み出した産物が独ソ開戦を受けて、1941年7月2日の御前会議で決定された「帝国国策要綱」でした。”
  • 細谷雄一『安保論争』(ちくま新書) 6点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    8月21 細谷雄一『安保論争』(ちくま新書) 6点 カテゴリ:政治・経済6点 国際政治学や外交史を専門とし、『国際秩序』(中公新書)などの著作で知られる著者が、昨年夏に大きく盛り上がった安保論争について自らの論考をまとめたもの。 新聞や雑誌、ウェブメディなどに書いた記事を元にしているため、重複している部分もありますが、安保法制に賛成の立場から一貫した議論がなされています。 目次は以下の通り。 1 平和はいかにして可能か 2 歴史から安全保障を学ぶ 3 われわれはどのような世界を生きているのか―現代の安全保障環境 4 日の平和主義はどうあるべきか―安保法制を考える まず、著者は1992年の国連平和維持活動協力法の時の騒ぎを引き合いに出し、当時は「違憲だ」「平和主義を破壊する」と懸念されたが、25年近く経ってどうだったか? と問いかけます。 さらに安保法製の審議において、反対する陣営から「平

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    okbc99 2016/08/24
  • 細田晴子『カストロとフランコ』(ちくま新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    3月21 細田晴子『カストロとフランコ』(ちくま新書) 9点 カテゴリ:政治・経済9点 タイトルを聞いた時は二人を結びつけるものが頭に浮かびませんでしたし、「どうせ強引に共通点を見つけ出したりしているだけでは?」と思って買う予定にいれていなかったのですが、著者が外交官としてスペイン大使館に勤務し、政治学のなどを出している個人出版社の吉田書店から(『カザルスと国際政治』)を出していることを知って読んでみました。 カストロとフランコの弾圧者としての側面をまったく描いていないなど、やや対象を美化しすぎているきらいもあって欠点もあるだとは思いますが、これは面白いです。 社会主義革命を成し遂げたカストロのキューバと、反共産主義の独裁者フランコ率いるスペインが、なぜ国交を断絶させずに付き合い続けたのか?という疑問から、キューバ・アメリカスペインの外交の三角形を見事に読み解いていきます。 著者は

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    okbc99 2016/03/21
  • 竹森俊平『ユーロ破綻 そしてドイツだけが残った』(日経プレミア) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    10月18 竹森俊平『ユーロ破綻 そしてドイツだけが残った』(日経プレミア) 9点 カテゴリ:政治・経済9点 『資主義は嫌いですか』、『中央銀行は闘う』などの著作や、新書『1997年―世界を変えた金融危機』で知られる竹森俊平の新書が登場。 毎回、豊富な経済史についての知識と、最新の経済学の知見についてのわかりやすい説明で楽しませてくれる竹森俊平ですが、今回のも面白い。ユーロ危機という今最もホットな話題を丁寧に、そして時に大胆に読み解いていきます。 このは大恐慌(世界恐慌)の話から始まります。 1929年10月のウォール街での株の大暴落から始まったとされる大恐慌ですが、実はその恐慌が格化したのは1931年4月のオーストリアの銀行破綻に始まる欧州の経済危機。 今回の危機においても、2008年のリーマン・ショックが現在のユーロ危機につながり、そしてさらに危機が格化するのではないのか?と

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    okbc99 2015/07/02
  • 宮城大蔵『「海洋国家」日本の戦後史』(ちくま新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    6月15 宮城大蔵『「海洋国家」日の戦後史』(ちくま新書) 9点 カテゴリ:政治・経済9点 それほど期待をしていなかっただったのですが、これは面白い。 タイトルからすると単なる日の戦後外交史を「海」の視点から切り取ったを予想しましたが、これは戦後初めて国際政治に出現した「アジア」という地域と国々、そしてそうした国々と日の関係を分析した。 分析の中心となるのはインドネシア。 第2次大戦中、日の「南進」政策によって占領され日の資源調達のための拠点となったインドネシアは、スカルノによって独立を勝ち取り、バンドン会議を開くなど、第3世界のをリードする国としてその存在感を示します。 一方、日は1949年の中華人民共和国の成立により「北進」を封じられ、再び「南進」政策を目指します。 東南アジア諸国に占領の爪痕を残した日ですが、欧米諸国の植民地支配が終った後の資の拠出手として、対中

    宮城大蔵『「海洋国家」日本の戦後史』(ちくま新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期
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    okbc99 2015/02/13
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