『ヴィンダウス・エンジン (ハヤカワ文庫JA)』 十三 不塔,鈴木 康士 早川書房 1,078円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 第八回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作(前回紹介した竹田人造『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』と同時受賞)。 韓国の青年キム・テフンは、視覚に異常をきたす奇病ヴィンダウス症を患い、運動していないものが一切見えなくなる。人間の眼球は細かく揺れ、対象物に相対的な動きを与えているが、ヴィンダウス症はその眼球微動が阻害される。目には映っていても脳が認識しないのだ。罹患する前と後で、現実がまるっきり変わってしまう。そして、病状が進行すると、自我が崩壊する。 しかし、キムは独自の精神統御によって寛解状態に到達する。この時点でヴィンダウス症患者は世界中に70人ほどいたが、寛解に至ったのはキムともうひとり