これから紹介する話は、ごく最近、知人のA君と俺が交わした会話をまとめたものです。登場する人物名はすべてアルファベット表記(イニシャルとは限りません)ないしは記号表記にし、意図的にぼかしている記述がありますが、話の大意はこの通りで、特に金額の数字についてはA君の発言のままにしてあります。 A君は俺と同世代ですが、学生時代にライターデビューし、現在は小さい編集プロダクションの営業と経営に徹しています。社員は社長であるA君と、奥さんのみ。しかし、最近まで常時3~40人のライター・エディター・デザイナー(すべてフリー)を抱えていて、A君が営業をかけて出版社からもらってきたムックや単行本の仕事を、その都度自分の抱えるフリーから4~5人選んでチームを組んで、丸々一冊を1~3ヶ月かけて編集・制作していました。こうした請負仕事(その中にはA君の企画もあります)を彼の会社では常時、8~10冊は抱えていたので
第83回:穂村 弘さん (ほむら・ひろし) チャーミングな口語短歌、トホホ&ニヤリな散文で人気を博している穂村弘さん。あの作風は、どんな読書体験から生まれてきたのでしょう。思春期の膨大な読書歴の背景には、実はとてつもなく切実な思いが託されていました。世界に対する思い、作品に対する思い。たっぷりと語ってくださいました。 (プロフィール) 1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』(沖積舎)でデビュー。2008年、『楽しい一日』で第44回短歌研究賞、『短歌の友人』(河出書房新社)で第19回伊藤整文学賞(評論部門)を受賞。また石井陽子とのコラボレーション『It's fire,you can touch it』(「火よ、さわれるの」)でアルスエレクトロニカ・インタラクティブアート部門honorary mention入選。短歌のみならず、近年はエッセイなどの散文でも幅広い人気を
ポイントサイト(ポイ活)の事業についてビジネスモデルなど調べてみた ポイ活ってたまに聞きますよね。一言で言えば趣味とか遊びでやるならいいですが、当然広告事業なので、広告主と運営事業者は儲かります。いわゆる一般ユーザー=...
これはひどいこれはひどい。気分を害したい時は、とりあえずこの人の小説を読んでおけば間違いはありませんね! 露悪の限りを尽くしたいという感じで、相変わらず胸の悪くなるキャラクターばかり。人喰い通り魔の女子高生や職業殺人者が、登場人物の中ではまだしも嫌悪感少ない部類だったりします。それでも前作『フリッカー式』ほどの気持ち悪さを感じないのは、「一人残らず性格悪い奴ばかり」という風に、悪意があくまで悪意として描かれていたからかもしれません。 『フリッカー式』の方では、主人公のどうしようもない悪意や責任転嫁が、まるで悩める青春の爽やかな一ページとでも言わんばかりの小洒落た筆致で描かれていました。その辺の、肯定すべきが何で嫌悪すべきが何かという倫理観がエラーを起こしたような感覚が、今回はありません。良くも悪くも、「嫌な話」として分かりやすくはなっていました。 解決と真相について。佐藤さんの描く、こうい
超丸たっての希望で僕と大津と三人で、福井県西暁町のパインハウスを訪れる。七月十五日で、西暁の駅に到着したのが午後五時過ぎで、円い建物の前でタクシーから降り立ったのが午後六時ちょうど。空は明るいけどもうとっくに太陽は山の向こうで、パインハウスは暗い。 その建物にはもう誰も住んでいない。家主でミステリー作家だった暗病院終了(あんびょういんおわる)氏の変死事件以来もうずっと誰も近づいてもいないはずだ、とタクシーの運転手は言っていたが、実際庭は荒れ放題になっている。 「おい超丸、何か判ったか」と大津が言うが、超丸はバウムクーヘン型の二階建てを見つめたままで何も言わない。 「何も判んない方がいいだろ」と僕は言う。作家の死について真相を捉え違えてしまったときに名探偵たちは殺されていったらしいのだ。もちろん事件はもう終わっているが、下手な推理を余計に披露したせいで超丸に死なれては困る。せっかく国内の同業
笑顔の大量虐殺者:ポルポトの素顔 Paul Poast, Pol Pot: The History of a Nightmare (John Murray, 2005) (『一冊の本』2005年10月号) 山形浩生 要約: Short Pol Pot は、ただでさえ少なかったポルポトに関する記録を徹底的にあさり、関係者にインタビューすることでかつてない規模の伝記となった。その理由づけはすべてをカンボジアの国民性に帰するもので疑問ではあるが、今後数十年、これ以上のものは出ないであろう。 クメール・ルージュ支配下のカンボジアは、凄惨を極めた。無謀な強制移住や強制労働により大量の国民が餓死・病死、各種粛正とあわせて総死者数はわずか数年で総人口の五分の一以上。その恐るべき体制の頂点に君臨しつつもほとんど姿を見せず影の存在だったポル・ポトについて、現時点での決定版ともいうべき伝記が本書だ。片腕キュー
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