カエンタケは今でこそ猛毒キノコとして有名になったが、わずか20年ほど前までは紹介しない図鑑があるほど、マイナーなキノコだった。写真/浅井郁夫 キノコの“食用”と“毒”はどう判断している? キノコ図鑑を手にすると、食用、毒、食毒不明といった解説がある。そもそも、食用キノコと毒キノコは、どのように区別しているのだろうか。多くの人は、科学的に成分を分析して、厳密に調べたうえで判定されていると思っているかもしれない。実際は、“経験則”に基づいているということは、この連載の第1回目で紹介したとおりだ。 つまり、過去に『このキノコを食べて中毒した』という人がいれば毒キノコ、『誰もがおいしく食べている』のであれば食用キノコ扱いなのである。なぜ、科学的な調査が行なわれないのだろうか。千葉県立中央博物館の吹春俊光さんが解説する。 「ひとつのキノコには、たくさんの化学成分が含まれています。未知の毒成分も次々に