福山大生命工学部生物工学科の佐藤淳准教授(進化生物学)の研究グループが、共通の祖先から分かれたと考えられてきたアザラシ、アシカ、セイウチの遺伝子の分析から、アザラシの祖先だけ別の過程で陸から海へ進出した可能性があるとする論文を発表した。同じ陸の生き物から進化したと考えられてきた水族館の人気者たちが、実はルーツを異にする動物だったことを示唆する研究結果に、水族館のベテラン飼育員も関心を示している。 アザラシ、アシカ、セイウチの仲間は「鰭脚(ききゃく)類」と総称される海生哺乳類。耳たぶがなく腹ばいで移動する「アザラシ科」▽小さな耳たぶがあり、前後の脚で体を起こして歩く「アシカ科」▽大きな牙を持つ「セイウチ科」――など、主に体の特徴で分類されている。 佐藤准教授によると、これまでは3000万~4000万年前にイタチの仲間から分かれた後、陸上で暮らしていた祖先が海に進出し、時間をかけてそれぞれの形