薄情 posted with ヨメレバ 絲山秋子 新潮社 2015年12月18日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 今年の谷崎賞受賞作品。絲山さんの小説は好きでよく読んでいるが、これは最近の作品では一番おもしろかった。というか、とてつもなくおもしろくて、今年のマイベストの上位に入ってくるのは間違いないと思う。 主人公の宇田川は東京の大学を出て今は高崎の実家で暮らしている。伯父の神社を継ぐことが決まっていて、多忙な半年は神社を手伝い、ヒマな半年は嬬恋のキャベツ畑でアルバイトをしている。この宙ぶらりんで不安定な暮らしを続けることに彼自身が倦んでいる。 物語は平成26年のあの豪雪から始まる。この「閉ざされた感」と「一大イベント感」が物語の始まりとしてすごく効いている。そんな中で宇田川は高校の後輩である蜂須賀と再会する。2人は一度「地元」を出て戻ってきた、という共通点があ