夏の情婦 (小学館文庫) posted with ヨメレバ 佐藤 正午 小学館 2017-08-08 Amazon Kindle 楽天ブックス 直木賞を受賞した佐藤正午の1988年の恋愛小説集。デビュー作「永遠の1/2」から4年経っているので「若書き」とは言えないけれど、少しだけそう感じる部分もある。しかし、5つの物語どれもがすこぶるおもしろい。佐藤正午の小説はある種のクールさと情緒性が同居していてそこが魅力なのだが、この5編にも同じようなことを感じることができた。 個人的に一番好きなのは「片恋」という物語。九州の地方都市に暮らす小説家が主人公だ。彼が昔のクラスメイトの女性と再会したことが発端になる。想い出のように語られる13年前の高校時代のある出来事。主人公の彼が思いを寄せるTという同級生、友人Kのおせっかいから2人は会うことになるのだが…。現代と過去を行き来しながら語られる若き日の恋と