いい子のあくび posted with ヨメレバ 高瀬 隼子 集英社 2023年07月05日 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 高瀬隼子の芥川賞受賞後の第1作。ちょっと長めの表題作「いい子のあくび」と「お供え」「末永い幸せ」の短編2作を収録。どれもおもしろい。 「いい子のあくび」はスマホを見ながら自転車をこいで前方からやって来た男子中学生に「ぶつかったる」とそのまま身を投げ出した女性の話。自転車スマホなど「絶対に許さない」「わたしは正しい」とぶつかったのだが相手は自転車ごと倒れ、車に轢かれそうになる。高瀬隼子の物語は、人の心の中に棲む、悪意や冷徹さがその中心にある。それはある意味、人間としての「本音」でもある。だからこそそこに読む側の共感が生まれる。 主人公・直子の行動はちょっと変わってはいるが、冷静に考えれば自分の中にも確かにあるものだ。