本書は、渡辺澄夫氏によって提案されたWAICおよびWBICの理論的根拠を与えるとともに、ベイズ統計学のためのソフトウェアStanによる実装を導入し、解析関数、経験過程、代数幾何、状態密度の公式などの数学をできる限りやさしく解説したものである。特に、代数幾何は例を数多く掲載した。対象読者は統計検定®2級程度の知識がある方、WAICやWBICの本質を知りたい方、『統計的機械学習の数理100問 with R』程度の知識がある方を想定している。 「渡辺澄夫ベイズ理論」という言葉は、渡辺氏の30年来の友人である著者が、本書を執筆するにあたって命名したものである。そこには「WAICの正当化」をはるかに超えるドラマがあった。赤池の情報量規準、甘利の情報幾何とならぶ日本統計学の偉業として渡辺澄夫氏の業績を多くの方に知っていただきたいというのが本書の願いである。 「統計検定」は、一般財団法人 統計質保証推進
理化学研究所(理研)脳神経科学研究センターの磯村拓哉ユニットリーダーらの国際共同研究グループは、どのような神経回路も「自由エネルギー原理[1]」と呼ばれる近年注目される脳理論に従っており、潜在的に統計学的な推論[2]を行っていることを数理解析により明らかにしました。 本研究成果は、自由エネルギー原理の神経基盤への理解を進め、将来的には精神疾患の早期診断・治療への応用や、ヒトのように学習する脳型コンピュータ・人工知能の開発に貢献すると期待できます。 私たちは目や耳から受けた感覚入力が背後の原因からつくられる仕組みを推論することで、将来を予測し適切に行動できます。自由エネルギー原理は、それらを統一的に説明できる脳の理論です。しかし、脳の基本単位である神経細胞やシナプス結合[3]がどのように自由エネルギー原理を実装しているかは未解明です。 今回、国際共同研究グループは、神経活動の方程式から神経生
はじめに 対戦ゲームのレーティングシステムとして多く採用されているElo Ratingですが, その計算式を見ると内部で行っていることはロジスティック回帰とほとんど一致することがわかります. この記事ではロジスティック回帰とElo Ratingについて簡単に説明し,それらの関係について見ていきます. また,ついでにこの事実を応用した格闘ゲームのキャラ相性解析のアイデアについて紹介したいと思います. ロジスティック回帰 ロジスティック回帰は2値分類問題の推論や分析に利用される一般化線形モデルの一つです. ロジスティック回帰ではロジット(対数オッズ)を線形モデルで予測します.*1 このことは予測確率を,線形モデルの出力を,ロジスティック回帰の重みベクトルを,バイアスを,入力ベクトルをとした時以下の式で表されます. 予測確率の計算 予測確率は以下の式で求まります.*2 更新式 ロジスティック回帰
本書について #Pyroで実践するベイズ機械学習は、Uber AI Labsが中心となって開発を進めている確率的プログラミング言語Pyroを用いてベイズ機械学習を行う方法を解説した入門書です。ベイズ機械学習の基礎からPyroでそれをどのように実装するのかまでを解説していきます。 本ドキュメントは2021/08/08 現在、制作中です。 本ドキュメントはオープンなプロジェクトであり、そのため協力者を広く求めています。本書のソースコードは GitHub上で公開されています。 本書への追記や修正などありましたら、上記GitHubにてIssueの発行、またはPull requestをお願いいたします。 本ドキュメントは Creative Commons Attribution-ShareAlike 4.0 International License のもとで公開されています。
後編 プログラミングを学ぼうと思い立つ行列はVBAなんかじゃ無理っぽいし、なんかプログラミング言語を覚えようと決める。 なんでも、統計やるならRという言語がいいらしい。 最近じゃPythonというのも人気らしい。 とりあえず両方試そうということで、RのためにRとRstudioをインストール。 Pythonはanaconda プログラミングはなんかを製作する目標がないと挫折すると聞いていたので。 深層学習というものが流行ってると聞いて、ちょっと触りを勉強したくなる。 「Excelでわかるディープラーニング超入門」 https://www.amazon.co.jp/Excel%E3%81%A7%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8B%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3
こんにちは,株式会社Nospare・千葉大学の小林です.本記事ではGelman and Vehtari (2020)の`What are the most important statistical ideas of the past 50 years?'について紹介します.この論文は過去50年において最も重要だとされる次の8つのアイディアが取り上げられています. 8つのアイデア 反事実(counterfactual)に基づく因果推論 ブートストラップとシミュレーションに基づいた推論 オーバーパラメータ(overparameterized)モデルと正則化(ガウス過程,Lasso, horseshoe, ベイズnonparametric priorなど) ベイズマルチレベル(階層)モデル 汎用的な計算アルゴリズム(EM, MCMC, SMC, HMC, 変分法など) 適応的決定分析(ベイズ最
こんにちは,株式会社Nospare・千葉大学の小林です.今回は前回の記事「【論文紹介】ベイズ統計における数値計算の進歩の歴史(前編:1763年から20世紀まで)」に引き続き,Martin, Frazier and Robert (2020)によるベイズ統計における数値計算(Bayesian computation)の進歩の歴史についてまとめた論文`Computing Bayes: Bayesian computation from 1763 to the 21st Century(arXivのリンク)'について紹介します.本記事は中編として,論文の中盤部分にあたる21世紀における発展について紹介します. 21世紀:2回目の革命 なぜ2回目が必要だったか? 20世紀終盤でMCMCによるBayesian computationの手法が台頭し,非常に多くの分野・領域で利用されるようになりました.
はじめに:本稿のターゲット データサイエンティストを目指す若手エンジニアや学生向けに投稿しました いまもっとも熱い職種の一つとなっているデータサイエンティスト。 その影響もあって大学生や若手の社会人でもその道を目指す人が増えています。 私は現在インターンの採用面談をしていますが、その工程の中で、 ◎データサイエンティストはどのような仕事なのか解像度がまだ低い ◎実社会で求められているスキルと目指す側の方向性に乖離が起きている というようなことを感じましたので一度ここで振り返っておこうと思います。 データサイエンティストに求められる条件は数学だけなのか? 以下はデータサイエンティストに求められる素養を端的に表現した図になります。 ご覧の通り。求められる素養は プログラミング力、ビジネス力、数学力の3つが条件となっています。 データサイエンティストを目指している学生はほぼ皆さん数学の勉強はしっ
少し前のことですが、こんな話題がありました。 自分がこれまで現職で手がけた機械学習ソリューションでは 1. そもそも「予測」ではなく「説明(解釈)」をアウトプットにする 2. クラス分類確率の高いものだけアウトプットし、低いものは「未定」扱いにして捨てる などという形で実務の現場で使ってもらってます。精度勝負をしないのも一つの解かと https://t.co/NmZJCPnue2— TJO (@TJO_datasci) 2021年8月29日 実際問題として「ある目的のために機械学習システムを開発し、非常に高精度のものが出来上がったが、結局色々あって実戦投入されなかった」という話は、自分の身の回りでも業界内の伝聞でも事欠きません。 しかし、機械学習と言えばどちらかというと「より精度の高いモデルを追い求める」試み、もう少し下世話に言うと「精度勝負」によって、連綿と発展してきたという歴史がありま
Twitterでたびたび告知させていただいていますが、『施策デザインのための機械学習入門』という本を技術評論社さんから出させていただきます。紙版は8月4日発売(本記事公開の翌日)、電子版は7月30日にすでに発売されています。 gihyo.jp www.amazon.co.jp 本書の概要は次の通りです。 予測に基づいた広告配信や商品推薦など,ビジネス施策の個別化や高性能化のために機械学習を利用することが一般的になってきています。その一方で,多くの機械学習エンジニアやデータサイエンティストが,手元のデータに対して良い精度を発揮する予測モデルを得たにもかかわらず,実際のビジネス現場では望ましい結果を得られないという厄介で不可解な現象に直面しています。実はこの問題は,機械学習の実践において本来必要なはずのステップを無視してしまうことに起因すると考えられます。機械学習を用いてビジネス施策をデザイン
施策デザインのための機械学習入門〜データ分析技術のビジネス活用における正しい考え方 作者:齋藤 優太,安井 翔太技術評論社Amazon 著者よりご恵贈いただきました.いくつか読むべき本があったのですが,社内で読書会をするために優先して読みました.感想を書きます. 著者は当時学部生とは思えないスピードでトップカンファレンスに論文を通している齋藤優太氏とサイバーエージェントにて機械学習と経済学 (特に因果推論) の研究を行っている,「効果検証入門」の著者でも知られる安井翔太氏.監修はホクソエム社. 第一線で活躍する若手研究者が日本語で本を書くことがどんなに貴重か (一部の研究者が「日本語の原稿や国内学会は業績ではないので意味がない.運営負荷も高いために縮小・廃止すべきだ」「日本語の専門書は不要であり,原著を読める人間だけが読めばいい.」と主張している背景があります) という話をしても一部の人に
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