主人公が「宇宙」と呼ぶ、その巨大な図書館は、中央に巨大な換気孔をもつ六角形の閲覧室の積み重ねで成っている。 閲覧室は上下に際限なく同じ部屋が続いている。 すべての閲覧室の4つの壁には、それぞれ5段の本棚があり、各段に32冊ずつ本が収納されている。 全ては同じ大きさ、同じページ数の本であり、一冊は410ページ、各ページはどの本も40行×80文字で構成されている。 全ての本は22文字のアルファベット(小文字)と文字の区切り(空白)、コンマ、ピリオド、の計25文字しか使われていない。 そして同じ本は二冊とない。 ここで一生を終える司書たちは、この図書館がこの25文字で表現可能な全ての組合せ、言い換えれば言語で表現可能な一切のもの、を納めていると考えている。 つまり、今までに書かれた本とこれから書かれる本、それらの本の落丁・乱丁・誤訳版、および不完全な版を指摘した解説書、解説書の偽書、解説書の偽書