高知県工業技術センターの開発で、宇宙を経験した日本酒の酵母が、今度は深海の旅から帰ってきた。2019年3月、太平洋・南鳥島周辺の6000メートル近い深海を調べる探査機と一緒に沈められて1年。引き上げられた酵母は、水圧の影響か残念ながらすべて力尽きていたが、センターの上東治彦専門員は「次の機会までに、圧力に強い酵母を育成したい」とさらに意欲を燃やしている。 宇宙に行った酵母は15年前に誕生した。05年10月、センターが開発した複数の日本酒用酵母が、カザフスタンの宇宙基地からロシアのロケット・ソユーズで打ち上げられ、宇宙空間に10日間滞在した。帰ってきた酵母たちは「宇宙酵母」として県内各酒造会社が使用。06年に売り出された「土佐宇宙酒」は評判になった。