小泉八雲に関するonboumaruのブックマーク (3)

  • 杏生と二人のお貞 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 越後国は新潟湊に、若い医者がおりまして。 名を長尾杏生(ながおきょうせい)ト申しましたが。 これが目鼻立ちの整った好男子でございます。 年は二十歳を過ぎたばかりながら。 洒落っ気もあれば、品性も良い。 女たちの注目を一身に集めておりました。 ある時、トある妓楼に呼ばれて参りますト。 芸者がひとり床に臥せっている。 名をお貞(てい)ト申しまして。 長らく気を患っているトいう。 「お医者さん」 「どうしました」 布団からだらりと飛び出した白い手を。 軽く掴んで脈をとっておりますト。 虚ろな眼差しをそむけたまま。 恥じらうように女がそっと言いました。 「私、もう長くないんでしょう」 「馬鹿を言いなさい。気くらいで死ぬ人はいませんよ」 女は年の頃、二十二、三。 結い髪はとうに崩れており。 後れ毛が鬢から力なく垂れている。 病身の隠微な美しさ。 「それでも、他のお医者さん

    杏生と二人のお貞 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2019/04/15
    「夜窓鬼談」より
  • 指切り首切り肝試し | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 昔、紀州のある村に、強欲者の夫婦がございました。 よく、己の損得勘定にばかりうるさい者を指しまして。 「あの人は強欲だ」ナドと申しますが。 この夫婦は少し、たちが違う。 そもそも勘定ナドというものがございません。 とにかく、手に入ると分かったものがございますト。 たとえ損が目に見えていても手に入れないと気が済まない。 以前、肥溜めに誤って煙管を落とした旅人がございまして。 人はとうに諦め、捨ておいて去ろうといたしましたが。 それを知った夫婦は、半日かけて肥だらけになりながら。 それをようやく掬い上げて、持ち帰ったことがあるという。 ところが、考えてみるト、亭主も女房も煙草を喫みません。 誰かに売ろうにも、糞まみれの煙管を買おう者などどこにもいない。 今では、二歳になる子どものおもちゃになっているト申しますが。 こうなるト、もはや心の病でございましょうナ。 もっとも

    指切り首切り肝試し | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/07/22
    「諸国百物語」より
  • 死骸に乗る男 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 平安の昔の話でございます。 ある男がございまして。 どんな事情があったかは知りませんが。 長年連れ添ったを離縁しまして。 一人で家を出ていってしまいました。 はこれを心から怨む。 嘆き悲しんで日を送る。 そのうちに、ついに患いつきまして。 挙句に亡くなってしまいました。 その女には、親兄弟も親しい者もございませんでしたので。 弔いを出してくれる者もなければ、死を気にかけてくれる者さえない。 亡骸は、家の中に打ち捨てられたままトなっておりました。 ところが、怨念というものは恐ろしいものでございます。 女の亡骸からは、髪の毛が一向に抜け落ちません。 肉は腐り落ちても、骨はいつまでも整然ト繋がって崩れない。 その様子を、隣家の者が壁の穴から毎日覗き見ておりまして。 ただでさえ、死霊の怨念に恐れ慄いておりましたが。 女の死骸を、常に異様な光が包んでいる。 家鳴りも始終止

    死骸に乗る男 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
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    onboumaru 2016/07/14
    「今昔物語集」より
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