2016年12月6日のブックマーク (1件)

  • 美女狩り、妖怪斬り | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 清国の話でございます。 よく正義漢だとか熱血漢ナドと呼ばれる者がおりまして。 とかく世の中では、こうした者がもてはやされがちでございますが。 正義と独善は紙一重。 熱血と残虐もまた、表裏一体と申せます。 かつて平陽の県令を務めた者に。 朱鑠(しゅしゃく)ト申す壮漢がございましたが。 この者はとにかく、己の責務を全うすることに熱心で。 悪を憎み、善を尊ぶこと、ひとかたならず。 その正義が度を越すこともたびたびでございます。 罪人に対する責め苦は、苛烈を極めるものでございました。 悪人にはみずから拷問役を買って出まして。 わざわざ分厚い首枷や硬い棒を、特注したというくらい。 イヤ、嗜虐が正義の仮面を被っているのではないかという。 殊に女囚を責めることの無慈悲さは、筆舌に尽くし難く。 中でも妓女などはまるで、親の仇でもあるかのようになぶります。 「美をもって人を惑わす者に

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