2017年2月23日のブックマーク (1件)

  • 崖の上の狐とお歯黒婆 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 奥州は八戸のとある在に。 宗介ト申す若い衆がひとり。 呑気に暮らしておりましたが。 ある冬の日のことでございます。 宗介は山一つ越えた向こうの町へ。 物を買い出しに出掛けることにいたしまして。 朝は鶏の鳴く前から起き出しますト。 東の空が白み始める頃には、もう家を出ておりました。 小鳥の囀り、まばゆい木漏れ日。 白い雪がきらきら光るその中を。 宗介はてくてく歩いていく。 お天道さまが頭上に登った頃には。 宗介も峠のてっぺん、崖の上までやってきた。 ふと気づいて頭を上げますト。 何やら行く手の方向から。 ガサガサ、ガサガサと音がする。 見るト、一匹の狐が前足二で。 白い地面を懸命に掘り出している。 鼠の死骸でも嗅ぎつけたものでございましょうか。 あまりに夢中で、こちらの気配に気づいておりません。 宗介は狐に色々と借りがある。 夜中に何度も戸を叩かれて起こされたり。

    崖の上の狐とお歯黒婆 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
    onboumaru
    onboumaru 2017/02/23
    青森の民話より