大企業への減税となる法人税減税の代替財源の候補に、賃金や雇用を増やした企業への優遇税制の撤廃、縮小など見直し策が挙がっている。安倍晋三首相は六月にまとめる成長戦略に法人税減税を明記する考え。政府税制調査会なども減税を容認する見通し。大企業の税金を軽くするための負担が、雇用や賃金の抑制を通し、個人にツケ回しされる懸念が浮上している。 (石川智規) 「雇用促進税制」は基準年度から、従業員を10%または五人以上増やすなど一定条件を満たせば、増員一人あたり四十万円の減税が受けられる。政府は二〇一一年度に仕組みを導入、その後、拡充している。また、一三年度から始まった「所得拡大促進税制」は、基準年度から2~5%以上賃金を増やせば、賃金増加額の10%分を法人税から減税する。 大企業は近年、デフレの下で従業員の賃金を抑え、利益を内部にため込んできた。これら「内部留保」を崩して従業員に還元させる呼び水が、賃