庵野秀明ではなく樋口真嗣の映画。物議を醸した実写版『進撃の巨人』から七年を経たが、良くも悪くも全く変わっていない。『シン・ゴジラ』と同様やたらと監督が多い中、どの程度の裁量が割り当てられているのか不明だが、監督のクレジットから庵野が抜けるだけでここまで変わってしまう。表面上は所謂実相時アングルや細かいカット割り、字幕の挿入などでスタイルは継続されているように見えるが、編集では誤魔化されない樋口真嗣の悪癖がだだ漏れになっている。リブートとして原点を踏襲した明朗を掲げている癖に、脂っこい下心を混ぜ合わせるのは何でだ。童心に帰りたい時にそんなセコい悪意は一番見たくない。キャッチコピーに「人間」が入っているにも関わらず、人間が描けていない。これは演出以前に脚本の問題もあって、人類の危機だというのに世界観が妙に閉じている。TVシリーズの総集編のような印象もあるが、ウルトラマン=神永が接する禍特対が人