中国のように厳しい為替管理と外国為替市場への膨大な介入を行っている国では、自国通貨安の名目レートを長期に続けてもそれほど不思議ではない。しかし、そのような政策は国内物価の急上昇を引き起こし、異常な物価安(自国通貨安)は名目為替レートの騰貴ではなく、国内物価の上昇を通じて解消されるはずである。もしかすると中国では、何らかの構造的な要因の為に、均衡実質為替レートが大幅な自国通貨安の水準に留まっているのかもしれない。そこで我々は、購買力平価の視点からの国際比較により中国元がどれほど割安かを確認した上で、一次産業に労働余剰が存在するルイス・タイプの3部門経済成長モデルを構築し、経済発展の過程と絶対物価水準の関係を分析する。その結果、一次産業に余剰労働が存在するルイス的な状況では、絶対物価は低い水準に留まること、中国のように製造業への労働移動の障壁が高く、また財・サービス純輸出対GDP比が高い経済で