41才にして自分の運命を受け入れ、全ての準備を済ませて逝った金子哲雄さん。そのいきさつは最後の著書『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』(小学館)に余すところなく綴られている。その500日を、金子さんを看取った医療コーディネーターのAさんはどのように受けとめたのだろうか? Aさんにとって、金子さんを看取った経験は、非常に大きかったと言う。 「自分も金子さんのように死にたいと思いました。医療関係者の中にも、物理的に痛みを取り除いて死んでいかせることが尊厳死だと勘違いしている人が多いんです。でもそうでなくて人生の最期を自分の望むようにすること――これが尊厳死だと思うんです。金子さんは、自分の思いが、まったくブレませんでした」(Aさん) 金子さんの希望ははっきりしていた。それは最期まで仕事を続けること、そして、苦しまずに死ぬこと。これだけだった。最期に苦しまないですむのかということだけは