シーン1の続き。 「説明だけしてしまう」 真っ暗な空洞に、私と諸星さんだけがいる。この空洞は……今日の昼間、諸星さんの瞳の中に見た空洞だ。その中に、今は私自身が吸い込まれている。 「自分の心の中でローカルに思い描いた世界を、あなたは客観世界に反映させることができる。それが魔法。私は、魔法によって更新された現象を、ある程度まで差し戻すことができる。これが反魔法」 諸星さんは淡々と喋っている。そこにはやはり、私が窺い知れるような物語は何ひとつない。けれど……。 「委員会は私の反魔法が邪魔だから、時々こうやって襲撃をかけてくる。あなたは体よく騙された。あなたが想像する都合のいい"諸星きゆら"像で、本物の私を上書きしようとした。あなたがしようとしていたのは、つまりそういうこと」 諸星さんは怒っている。彼女自身の空洞に落とされた今、私にもそれが分かった。私が諸星さんの中にある"物語"を勝手に解釈して