イギリス・フランス・ドイツなどを中心に、聖杯を捜し求める騎士の物語、あるいはそれをモチーフにした奇跡譚が数多く語られた。これを聖杯伝説という。 その最初のものは、1180年代にフランスの詩人クレティアン・ド・トロワによる未完の騎士道物語『ペルスヴァル、あるいは聖杯の物語』(原題:Perceval, le Conte du Graal)である。主人公ペルスヴァルが漁夫王の城に招待された席で、その食事のコースの合間ごとにいろんな人物が槍(聖槍?)や燭台を持って現れる。最後に現れた乙女が捧げ持つものが、飾り立てられた聖杯(graal)である。この作品を基にドイツの詩人ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハは大作『パルチヴァール』によって、アーサー王宮廷騎士物語と聖杯物語の融合を成し遂げた。 これをキリスト教に結びつけたのは、フランスの詩人ロベール・ド・ボロン(Robert de Boron)によ